不正出血とは、女性の生理現象である月経や分娩以外に出血することを言います。生理前の排卵期に起こる中間期出血は病気ではないと言われていますが、どのように見分ければよいのでしょうか。
生理前 の 不正出血 について機能的なものと器質的なものにわけてご紹介いたします。
機能的なものと器質的なものがある生理前の不正出血
不正出血とは
不正出血とは、月経や分娩以外の通常は起こらない時期に起こる出血をさします。不正出血は子宮や子宮付属器などに炎症や腫瘍など器質的な問題が起こって出血する器質的出血と、器質的な問題がないにもかかわらず出血する機能的出血にわけられます。
器質的出血は傷を負って出血する場合も含みます。機能的出血はストレスによるホルモン分泌のバランスが崩れることが原因になることが多いと考えられています。
不正出血の原因として最も多いのはホルモンバランスの乱れです。ホルモンバランスが乱れる原因としてはストレスがあげられることが多いものですが、更年期や思春期など卵巣機能が不安定な時期にも多くみられるものです。
中間期出血と呼ばれる排卵期に起こる出血は、女性ホルモンのエストロゲンが一時的に減少するために起こります。茶色のおりもののような出血が2~3日続くことが多いようです。
排卵期に起こる中間期出血は病気ではないと言われていますが、他の病気が原因であるということが全く考えられないというわけではないので、毎月のように出血するようであれば受診した方がよいでしょう。
子宮膣部びらん・子宮頸癌・子宮内膜症・子宮筋腫などの病気でも不正出血することがあります。
女性は月経や排卵期の出血などに慣れているため、「いつもの出血」「たいしたことではない」と不正出血を看過しがちですが、重大な病気のサインである可能性がありますので注意が必要です。
他にも子宮外妊娠や切迫流産など妊娠中にも不正出血することがあります。
機能的な生理前の不正出血
着床出血
妊娠のサインである着床出血は、生理予定日の1週間から予定日にかけて起こり、出血の期間は2~3日です。
ピンクから茶褐色のおりものが少量出ることが多いようですが、経血のような出血をする場合や鮮血の場合もあり、非常に個人差が大きいと言われています。もちろん、全く着床出血をしない方もあります。
排卵出血
排卵出血は排卵期に一時的に女性ホルモンのエストロゲンの量が減少するために起こります。排卵が起こるのは生理予定日のおおよそ2週間前ですが、生理周期が乱れていると必ずしも2週間前にならないことに注意が必要です。
生理不順の方は基礎体温を測るなどして、生理周期を把握しておくとよいでしょう。
ホルモンバランスの乱れ
ご存知のように黄体は女性ホルモンのプロゲステロンを分泌するのですが、ホルモンバランスが乱れると黄体機能不全を起こすことがあります。
黄体機能不全に陥ると、プロゲステロンが不足して、生理前の不正出血が起こります。黄体機能不全の原因はストレスや不規則な生活、甲状腺の異常などが考えられます。
更年期になると全般的に女性ホルモンの分泌量が減少し、ホルモンバランスが乱れることが多くなります。生理周期も一定でなくなることから、生理予定日前の出血が起こることがあります。
器質的な生理前の不正出血を起こす病気
子宮膣部びらん
子宮膣部びらんは子宮の入り口の粘膜がただれて、赤くなる病気です。ほんの少しの刺激でも出血します。
子宮頚管ポリープ
子宮頚管ポリープは子宮頚管に良性腫瘍ができる病気です。ポリープの組織は崩れやすいので、出血しやすい状態になります。
子宮頚管炎
子宮頸部に大腸菌やブドウ球菌が侵入したり、トリコモナス原虫やクラミジア、淋病などに感染することによって子宮頸部が炎症を起こすのが子宮頚管炎です。子宮頸部の粘膜が炎症のためにただれますので、出血しやすくなります。
子宮内膜炎
子宮頚管炎が子宮体部まで広がって、子宮内膜に炎症が起こる病気です。経血となる子宮内膜に炎症が起こるので不正出血が起こりやすくなります。
子宮内膜症
子宮内膜症は子宮内膜が子宮内部以外にできてしまう病気です。子宮付属器などに子宮内膜ができて炎症を起こすために不正出血を起こしやすくなります。
子宮筋腫
子宮筋腫の中でも粘膜下筋腫ができると子宮内膜ができる面積が広がるだけではなく、子宮内膜がはがれやすくなるために不正出血が起こりやすくなります。
子宮頸癌
子宮頸癌は子宮頸部に癌組織ができて、その部分から出血することがあります。
子宮体癌
子宮体癌の主な症状が不正出血と言われるほどです。子宮体癌は更年期以降の40~60代の女性に多く、この時期の女性はホルモンバランスの乱れによる不正出血も多いので、きちんと検査を受けて識別する必要があります。
まとめ
機能的なものと器質的なものがある生理前の不正出血
不正出血とは
機能的な生理前の不正出血
異質的な生理前の不正出血を起こす病気