エストロゲンはプロゲステロンとともに代表的な女性ホルモンとしてよく知られています。エストロゲンは妊娠・出産を支えるホルモンであるだけではなく、美と健康のホルモンだと言われています。
エストロゲン の 作用 についてご紹介いたします。
美と健康の女性ホルモン「エストロゲン」の作用とは
妊娠と出産を支えるエストロゲン
上述のようにエストロゲンはプロゲステロンとともに代表な女性ホルモンで、この2種類の女性ホルモンはおおよそ28~38日の月経周期にあわせて分泌量が変化します。
月経が終わるころから排卵前にかけてはエストロゲンが多く分泌される時期で、基礎体温が低くなります。これは、エストロゲンに血管を拡張して熱を発散させる作用があるためです。
通常は交互に分泌量を増やして優位な作用をするエストロゲンとプロゲステロンですが、妊娠中はどちらも分泌量を増やして出産を支えます。とりわけ、エストロゲンは子宮内膜を厚くしたり、頸管粘液の分泌を促すことで着床を助ける働きをします。
着床後は分泌量を増やしたエストロゲンとプロゲステロンが子宮を大きくし、乳房の中の乳腺を発達させて母乳を作る準備を促します。
出産後、妊娠の維持のために必要であった大量のエストロゲンとプロゲステロンは急激に減少します。出産直後の心身の不調は、このあまりにも急激な女性ホルモンの減少に心身がついていけないことが原因になる場合があります。
産後2日目頃から急激にエストロゲンの分泌量が減少することの影響でセロトニンなどの脳内物質の分泌量までも減少してしまうのです。
ホルモンバランスが安定しないと肌荒れをおこしがちになり、エストロゲンに髪の成長を促す作用があるために抜け毛などが起こることもあります。
更年期障害とエストロゲン
ご存知のようにエストロゲンは脳の指令を受けた卵巣が分泌するものです。卵巣は他の臓器と同じように加齢によって機能が低下しますので、脳がエストロゲンを分泌するようにという指令を出しても十分に応えられなくなります。
そうすると、脳の視床下部や下垂体はさらに性腺刺激ホルモンを分泌して卵巣にエストロゲンを分泌するように促します。機能が低下した卵巣はそのさらなる指令にも応えられないために視床下部はパニック状態に陥ってしまいます。
視床下部は女性ホルモンだけでなく他のホルモンや自律神経の中枢でもあるために、顔のほてりや発汗・動悸・頭痛などいわゆる更年期障害の諸症状があらわれるようになるのです。
骨と血管にかかわるエストロゲン
エストロゲンには骨を破壊する破骨細胞の働きを抑え、カルシュウムの吸収を助けて骨密度を増加させるという重要な作用もあります。
閉経後、女性ホルモンの分泌量が急速に減少すると骨密度が低下してしまい、骨粗鬆症が起こりやすくなると言われています。統計によれば、閉経後の女性の骨粗鬆症の患者数は男性の3倍にも達します。
また、エストロゲンは血中の悪玉コレステロールの増加を抑え、善玉コレステロールを増やすことで、動脈硬化を防ぐ作用をすることもよく知られています。
そのために月経があって、女性ホルモンの分泌が盛んな時期には動脈硬化や心臓病などの心臓や血管の病気になるリスクが男性に比べて低いと言われています。
エストロゲンの分泌量が急激に減少する更年期以降に、心疾患や動脈硬化・高血圧などの血管系の疾患が男性の頻度に近づいてしまうことには注意が必要です。
美のホルモンとしてのエストロゲン
上述したようにエストロゲンには肌や髪を美しく保つ美のホルモンという側面もあります。肌の弾力やハリのもとになっているコラーゲンを生成するので、肌の潤いのもとにもなっているのです。
バストアップやくびれたウエストなどのためにエストロゲンが必要だとされているのは、エストロゲンに丸みのある女性らしい体を作る作用があるためです。
エストロゲンは女性にとってなくてはならないものですが、ホルモン剤やサプリメントで過剰に摂取した場合に乳房の張りや下腹部痛などの副作用が出ることがあります。
また、長期にわたるエストロゲンの投与が子宮体がんの発症リスクをあげるという報告もありますので、必ず専門医の処方を受けるようにしてください。
まとめ
美と健康の女性ホルモン「エストロゲン」の作用とは
妊娠と出産を支えるエストロゲン
更年期障害とエストロゲン
骨と血管にかかわるエストロゲン
美のホルモンとしてのエストロゲン