現在では、医療が進歩したことによりエイズは死に直結する病気ではなくなりました。しかし、誰にでも感染する可能性がある身近な病気でありながら、未だ誤った認識により恐れられている場合が多いです。
エイズは予防できる病気でもあります。そのため、 エイズ に至るまでの 症状 や予防法など、正しい知識と理解を深めることが大切です。
エイズを正しく理解して、早期の症状を見逃さない(前編)
HIVはエイズの原因ウイルス
HIVやエイズという言葉が混雑していますが、HIVはエイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus )のことを指し、エイズはHIVによって健康であれば感染することのない病原体に感染しやすくなる日和見感染症を起こす症候群のことを指しています。
HIVに感染した状態をキャリアといい、HIVは私たちの身体をあらゆる病原体から守るために重要な役割をする、CD4陽性細胞という免疫細胞に感染し増殖します。そして、エイズの指標疾患である日和見感染症23種類のうち1種類でも感染が認められると、エイズであると診断されます。
このように、HIVに感染したことが原因となり、免疫不全に陥ることから、エイズには後天性免疫不全症候群という正式名称があります。
症状から気付くHIV感染
HIVに感染症しても、治療を行うことにより、エイズの発症を遅らせることが可能です。しかし、HIVキャリアは無症候期といわれ、HIVに感染していることがわかりにくく、エイズを発症してからHIVに感染していたことがわかったケースは全体のおよそ3割だといわれています。
エイズを発症してから未治療で経過した場合の予後は2~3年であり、治療してもHIVキャリアの時点で治療を開始した場合とでは、明らかに予後に差がみられます。そのため、HIV感染の可能性があることに早く気付き、治療を開始することが重要になります。
HIVに感染したあと、約2~6週間目に急激にHIVウイルスが体内で増殖するために発熱、咽頭痛、頭痛、リンパの腫れなどの風邪やイフルエンザに似た症状がみられる場合があります。
しかし、この症状は数日で治まり、その後は無症候期に入り、数ヶ月から長くて10年以上も外見では感染していることがわからない状態になります。そのため、HIVに感染した可能性を疑う状況があった数週間後の体調の変化が、唯一早期発見につながる症状ということになります。
感染を疑う症状がみられたら
HIVに感染すると、血液中にHIV抗体ができます。そのため、血液を採取しHIV抗体スクリーニング検査を受けることによって感染しているかどうかを判断することができます。
HIV感染を疑う症状や、感染した可能性のある状況があった場合、先の不安も考えると少しでも早く感染の有無を知りたい方が多いと思います。しかし、HIV抗体が血液中に検出されるまで約4~8週間かかるため、すぐに検査をしても陽性という結果が出ないことがあります。
そのため、早期に検査を受け陰性だったために、実は感染していることに気付かないままエイズを発症してしまうというケースもあります。
現在は、病院だけでなく保健所や自宅でHIV検査キットを使ってHIV抗体スクリーニング検査を受けることができます。早い場合、感染から4週間ほどで抗体が検出されることもありますが、正確な診断を得るためには3ヶ月以上経過してから検査を受けることが推奨されています。
しかし、この間にも感染を広めてしまう危険があります。もしかしたら感染しているかもしれないと思った場合、感染を広めない対策が必要になります。
まとめ
エイズを正しく理解して、早期の症状を見逃さない(前編)
HIVはエイズの原因ウイルス
症状から気付くHIV感染
感染を疑う症状がみられたら