便秘薬にはさまざまな薬剤やサプリメントがあり、その即効性を強調したものも少なくありません。しかし便秘薬などを使用する前に確認していただきたい点がいくつか存在します。便秘の原因となる病気や薬の有無についてです。
もし何らかの原因がある場合、可能であればそれらの便秘の原因となっている病気やくすりをなくすことがもっとも“ 即効 性のある” 便秘解消法 になる可能性があります。
便秘解消目的で即効性下剤を使用する前に
二次性便秘
便秘に悩む女性は多く、インターネット上にはさまざまな薬剤やサプリメントが紹介されており、その即効性を強調したものも少なくありません。しかしながら、即効性かどうかに関係なく便秘薬を使用する前にまず確認していただきたい点がいくつか存在します。
二次性便秘を除外したいからです。二次性便秘は何らかの病気や原因があるために生じている便秘のことで、可能であればその原因をなくすことが、もっとも“即効性のある”便秘解消法になります。以下に二次性便秘の原因について説明します。
腸の中が狭くなる、あるいはつまる病気
専門用語で“器質性便秘(きしつせいべんぴ)”と言います。例えば大腸がんが増大すると大腸の中が狭くなることがあります。その結果、便が大腸を通過しにくくなり、便秘を生じます。
がんがますまず大きくなって大腸の内部を完全にふさいでしまうと、便は全く通過できなくなります。このような状態では便秘薬の効果は期待できず、急いでがんの治療を開始する必要があります。
大腸がんの他には腸閉塞(イレウス)、炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん。潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)やクローン病が代表的です)などの病気もできるだけ早めに見つける必要があります。
体重減少(おおまかな目安として4kg以上体重が減っているとき)、血便、貧血、50歳以上になってから急に排便習慣が変化した場合、ひどい腹痛や吐き気・嘔吐、発熱の合併、大腸がんや炎症性疾患が両親・兄弟など血縁者にいる、以上の項目に1つでも当てはまる人はこれらの病気が原因で便秘を生じている可能性があります。
腸の動きが悪くなる病気やコンディション
腸は自律神経で制御されて自動的に運動し、その結果便などの内容物を先へ先へと進めていますが、この制御機構がうまくいかなくなると便秘を生じます。専門用語では症候性便秘(しょうこうせいべんぴ)と称されています。
具体的には糖尿病(ただし糖尿病では反対に下痢気味になる人もいます)、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが不足する病気)、高カルシウム血症、脊髄損傷、パーキンソン病、低カリウム血症、アミロイドーシス、尿毒症、強皮症(きょうひしょう。膠原病の1種です。
最近では全身性硬化症という病名の方がよく使われます)、アジソン病(副腎ホルモンが不足する病気)などで便秘を生じます。それぞれの病気に対して適切な治療が必要になります。
ただし上記の器質性便秘とは異なり、症候性便秘では根本にある病気を治療しても便秘は完全には解消されず、便秘薬が必要になることも少なくありません。
また病気ではありませんが、妊娠するとしばしば便秘になります。これも症候性便秘の1つです。便秘薬の赤ちゃんへの影響を心配するお母さんがいらっしゃいますが、妊婦さんでも比較的安全に使用できる便秘薬があります。主治医の先生に相談するとよいでしょう。
くすり
他の病気に対して使用されている薬が便秘の原因となることがあり、薬剤性便秘と言われます。
がんなどの痛みに使用するオピオイド、リウマチなどの整形外科疾患などに対する痛み止めとして処方されるNSIADs(エヌセイズ)、抗コリン薬、抗うつ薬のうち三環系抗うつ薬と呼ばれる種類、向精神病薬、Ca拮抗薬(カルシウムきっこうやく。もっとも広く使用されている血圧の薬です)、利尿薬、鉄剤などが便秘の原因になります。
もともとの病気の状態にもよりますが、可能ならば薬の中止や変更、あるいは減量をすることで便秘が改善する可能性があります。ただしこれらの薬を服用しているから必ず便秘になるわけではありません。
極端な偏食やダイエット
二次性便秘には含まれていませんが、無理なダイエットや偏食はやはり便秘の原因になります。食事摂取量が少ないと、便そのものの量も減少します。
またよく知られているように、スムーズな便通には十分な食物繊維と水分の摂取が大切です。「日本人の食事摂取基準2015」では成人女性では1日あたり17~18g以上の食物繊維摂取が推奨されています。
まとめ
便秘解消目的で即効性下剤を使用する前に
二次性便秘
腸の中が狭くなる、あるいはつまる病気
腸の動きが悪くなる病気やコンディション
くすり
極端な偏食やダイエット