「危険な便秘や危険な腰痛が存在します(前編)」では、便秘症状が生じる深刻な病気についてご紹介いたしました。後編では、腰痛症状が生じる深刻な病気についてお伝えいたします。
よくある 便秘 ”、あるいは“普通の 腰痛 ”と決め付けずに、状況によっては1度医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。
危険な便秘や危険な腰痛が存在します(後編)
腰痛を生じる怖い病気
腰痛を治療するのが最も得意な医師は言うまでもなく整形外科の先生です。ところが腰痛が出現する危険な病気には筋骨格系、言い換えれば整形外科医がはじめに担当する病気だけでなく、それ以外の病気も存在しています。
整形外科領域で腰痛を生じる危険な病気には骨折・圧迫骨折、がん(乳がんなどもともとは他の部位にできたがんが骨に転移したものや、始めから背骨で発生したがん、さらには血液内科が担当するがん(白血病やリンパ腫、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)など)が腰部に悪さをしている場合など)、感染症(細菌などの病原微生物が悪さをするもの)などがあります。
感染症には整形外科的な骨やその周囲に感染して起こるもの(骨髄炎、椎間板炎(ついかんばんえん)、傍脊椎膿瘍(ぼうせきついのうよう)、硬膜外膿瘍(こうまくがいのうよう)など)や皮膚の感染症(帯状疱疹(たいじょうほうしん)が代表的です)があります。
整形外科的な感染症は数ヶ月単位にわたる長期間の治療を要することが少なくありません。一方で整形外科領域でない病気には上述の腹部大動脈瘤や大動脈解離があります。
どの病気もなるべく早く見つけ出して治療を開始することが不可欠ですが、特に整形外科以外の病気は、腰痛に悩む患者さん自身はもちろん、整形外科の先生も疑うことが比較的少ないために、どうしても診断が遅れる傾向にあります。
危険な腰痛を疑うサイン
50歳を超えてから新しく生じた腰痛には注意が必要です。整形外科領域の異常としてがんや骨折、整形外科領域以外の病気として腹部大動脈瘤が原因となっている場合があります。がんの既往、すなわち以前にがんをわずらったことがある人の腰痛も要注意です。
がんが腰椎などに転移しているかもしれません。ダイエットなど自分自身に心当たりがないにもかかわらず体重が減少している人や、なんとなく全身がだるい人に腰痛がある場合にもがんを伴っていることがあります。
さらに1ヶ月以上続く腰痛や夜間の安静にしている際にも感じる腰痛もがんが原因となっているケースがあります。腰痛があり、腰をノックすると痛むときは感染症(脊椎炎、骨髄炎、硬膜外膿瘍)を生じている可能性があります。
ステロイド薬を使用している人や血液がん患者さんなど免疫力が低下している人に生じた腰痛も危険です。感染が原因になっていることがあります。それに加えてステロイド薬を使用している人では圧迫骨折を起こしている可能性もあります。
腰痛だけでなく両側の足に麻痺症状が出ている場合はすぐに医療機関を受診してください。整形外科領域の病気としてヘルニア、がん、硬膜外血腫(こうまくがいけっっしゅ)、硬膜外膿瘍など、さらには整形外科領域ではない腹部大動脈瘤破裂が原因になっているかもしれません。
おわりに
いかがでしょうか。当てはまる項目があった方もおられることでしょう。もちろん、当てはまったから必ず怖い病気が隠れているとは断定できませんし、逆に1つも該当しないから安全と言うこともできません。
いずれにしろ“よくある便秘”、あるいは“普通の腰痛”と決め付けずに、状況によっては1度医療機関を受診し、医師に相談することが大切です。
まとめ
危険な便秘や危険な腰痛が存在します(後編)
危険な便秘、危険な腰痛
便秘を生じる怖い病気とそれを疑うサイン