有名アーティストがバセドウ病を発症したことをきっかけに初めて耳にした方が多いかもしれません。いっけん、更年期や疲れやストレスから起こる症状のように見過ごされてしまいがちです。辛い症状をもつ バセドウ病とは 、どのような疾患なのでしょうか?
ただの疲れやストレスではありません 見過ごさないで!バセドウ病とは
バセドウ病は自己免疫疾患です
バセドウ病は、甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌され代謝が高まってしまう自己免疫疾患です。通常の免疫システムであれば、体内に侵入する異物から身体を守ろうとします。
ところが、自己免疫疾患になると、自分自身の細胞や組織すら異物と認識し、それらを攻撃します。この自己免疫疾患には、バセドウ病だけでなく、潰瘍性大腸炎、1型糖尿病、血管炎、全身性エリテマトーデス、橋本病、円形脱毛症、関節リウマチ、全身性進行性硬化症など多岐にわたる疾患が含まれています。
発症のメカニズム
バセドウ病の発症のメカニズムは、TSHレセプター抗体が血液中に形成されるためです。TSHレセプター抗体とは、甲状腺の機能を調節している甲状腺刺激ホルモンの情報を受け取るTSHレセプターに対する抗体のことです。
TSHレセプターは甲状腺細胞の表面にあります。抗体は、免疫グロブリンというタンパク質で、体内に異物が侵入した際、異物に合わせ抗体を作り出すことができるようになっており、異物を除去する役割を担っています。
異物とは、細菌、ウィルス、癌細胞などをいいますが、バセドウ病では、このTSHレセプター抗体が形成されているため、自らの甲状腺すら攻撃し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌しています。なぜ、このような異常が起こってしまうのか?発症のメカニズムはわかっているものの、原因は特定されていません。
甲状腺と甲状腺ホルモン
甲状腺とは、喉仏の骨の下にある臓器です。蝶が羽を広げた形をしていて、大きさも3-5センチ程度の小さなものです。
ここでは、甲状腺ホルモンが分泌され、代謝や自律神経をコントロールしています。甲状腺ホルモンが過剰に分泌されていると、身体はどうなるのでしょうか?身体では、アドレナリンが過剰に分泌されているときと同じ様な症状がでています。
症状
バセドウ病の代表的な身体症状を以下に挙げます。最も特徴的なものは、甲状腺の腫れです。
その他に、食欲旺盛なのに体重が減少する(摂取以上のエネルギー消費があるためです)、脈拍が早まる、安静にしているのに動悸が感じられる、多量の汗(全身)、手によく汗をかく(温かく湿っている)、喉が渇きやすい、手指の震え、筋力低下、少しの動作でも疲れやすい、筋肉麻痺が起こる、常に下痢気味(回数も多い)、常にイライラし集中力が低下する、浮腫(むくみ)、月経不順などです。
前述、アドレナリンが過剰に分泌されているときと同様の症状があると述べましたが、激しい運動をした後や入浴後のような症状に似ており、代表的なものとしては、発汗、体温上昇、動悸、脈拍が早くなるなどです。また患者の約20%程度に、眼球突出、涙が出やすい、眼の炎症、光過敏といった眼の異変がみられます。
女性に多いバセドウ病
バセドウ病は、男性よりも女性に多く、100人に1人の割合で発症しています。20-40代(特に30代の女性で最多)で発症していますが、自己免疫疾患ですので、性別年代を問わずに発症する可能性があるといわれています。
バセドウ病かな?と思ったら
最近身体に異変が。。。更年期障害?疲れ?ストレス?それとも、バセドウ病?気になる身体変化は前述した通りですが、症状をみても、なんとなく疲れやストレスがたまっているだけかなぁと感じてしまいそうです。
特徴的な身体症状を自覚している方は、バセドウ病かもしれません。内分泌科あるいは内科を受診してください。眼が気になるようなら、まず眼科を受診しても良いでしょう。血液検査でホルモンバランスなどチェックできますし、悪化させないためにも、億劫にならずに受診することが大切です。
まとめ
ただの疲れやストレスではありません 見過ごさないで!バセドウ病とは
バセドウ病は自己免疫疾患です
発症のメカニズム
甲状腺と甲状腺ホルモン
症状
女性に多いバセドウ病
バセドウ病かな?と思ったら