わたし達の身体には、成長を促したり新陳代謝の働きをを活発にする、甲状腺ホルモンというホルモンが存在しています。このホルモンは、首の喉仏のすぐ下あたりにある甲状腺という器官から分泌されています。
普段はどこにあるのかも分からないような小さな器官ですが、この甲状腺に異常があり炎症を起こすと大きく膨らみ、目で見てもわかるくらいの大きさになります。
「眼球が飛び出たようになる」「脈拍が早くなる」「首元が腫れる」といった 症状 がみられたら、 バセドウ病 かもしれません。甲状腺疾患の専門病院で検査をしてもらいましょう。
この病気は治療すれば時間はかかっても必ず治る病気です。「もしかして?」と思ったら、早目に病院へ行き適切な治療を受けましょう。
こんな症状があったら、バセドウ病かもしれません
バセドウ病の症状
バセドウ病を発症すると甲状腺ホルモンが大量に分泌され、身体の中は常にスポーツをした後のように新陳代謝が活発に働きます。このため、暑がりになり大量の汗をかいたり、脈拍が常に早く動悸がするといった症状がみられます。
平均体温も37度以上となり、いつもだるく疲れているという感じがします。その他にも手足のしびれや筋力の低下、物が二重に見えるといった症状が出ることもあります。
また、発症の男女比率は1:4で圧倒的に女性が多いことも特徴です。
バセドウ病と不妊・妊娠の関係
体内で特定のホルモンが過剰分泌されると必然的に体内バランスが崩れ、他のホルモンに影響が出てきます。女性の場合、これが生理不順や無排卵に繋がり、妊娠しにくい状態となってしまうことがあります。
不妊治療を受ける場合は、まず薬による治療で甲状腺機能を正常化させることから始めます。甲状腺機能が落ち着けば、月経や排卵も正常化され妊娠することもありますが、それでも妊娠できない場合は、排卵促進剤の服用や体外受精といった治療を進めていくことになります。
バセドウ病が完治していない状態で妊娠した場合でも、甲状腺ホルモンが過剰な状態が続いていると、流産や早産のリスクが高まるため抗甲状腺薬やヨウ化カリウム丸といった薬物の治療を行います。
健康な人の場合でも妊娠や出産は、身体や心臓に大きな負担がかかるにもかかるものです。バセドウ病を患っていると更に大きな負担がかかり、母体の命にかかわる事態になることもあるため、甲状腺ホルモンの数値は正常化させる必要があります。
妊娠中の薬物理療に抵抗を感じる人もいますが、薬が胎児に影響を与えるのリスクと甲状腺ホルモンが母子に与えるリスクを比べると、圧倒的に甲状腺ホルモンのリスクの方が高いというデータがあります。治療は経過を観察しながら、病状の状態にあわせて慎重に進めていきます。
バセドウ病の治療
バセドウ病の治療方法は、症状の重症度にあわせて大きく分けて3種類あります。まず、治療の初期段階である場合や症状が軽度である場合は薬物治療をおこないます。
ただ薬を飲むだけなので手軽に始めることのできる治療法ですが、効果がでるまでに数年かかり、その間ずっと服用し続けなければいけません。また、薬には副作用があるため、長期間の治療を断念し、他の治療法に移行するケースも少なくありません。
薬物治療で効果が出ない場合は、アイソトープ治療(放射線治療)や手術をおこないます。アイソトープ治療とは、患部に放射線を当てるわけではなく放射性ヨウ素カプセルを飲み、体内から甲状腺に直接刺激を与え、甲状腺の細胞を減らします。
アメリカでは傷が残らず短期間で効果が出るため、バセドウ病患者の80%がおこなっている一般的な治療法です。副作用は、甲状腺の機能障害が出ることがありますが、ホルモン剤を飲むことで治療できます。
症状が重い場合や何度も再発するような場合は、甲状腺を取り除く外科手術をおこないます。原因となっている患部を取り除くため、バセドウ病の症状はすぐに改善されます。ただし、全身麻酔で手術を受け首にメスをいれるため、身体への負担は大きくなります。2週間ほど入院する必要もあります。
まとめ
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バセドウ病と不妊の関係
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