健康な人の甲状腺ホルモンは、甲状腺刺激ホルモンの刺激で必要な量だけ分泌されるよう調節されていますが、バセドウ病の場合は自分を攻撃する自己抗体が甲状腺刺激ホルモンに代わって甲状腺を過剰に刺激することにより必要量以上の甲状腺ホルモンが分泌されてしまいます。
そのため、 バセドウ病 の正式名称は甲状腺機能亢進症といい、現れる症状の中には 仕事 や日常生活に支障が現れる場合もあります。
バセドウ病に負けずにやりたい仕事をする方法(前編)
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甲状腺ホルモンの影響
甲状腺ホルモンの働きは、主に身体の成長と、新陳代謝の亢進です。特に子どもが成長するためにとても重要であり、甲状腺ホルモンが不足することにより知能低下や発育障害を起こしてしまいます。
先天的に甲状腺ホルモンが分泌されないクレチン症という病気があり、早期発見・早期治療によりそれらの障害を防ぐことができるため、現在日本では新生児マススクリーニングという検査を出生後5~7日の時期に行っています。成長する過程で甲状腺ホルモンが不足していると低身長などの成長障害が出てきます。
また、新陳代謝の亢進は身体にとって良い影響に感じますが、そうではありません。新陳代謝というのは身体のあらゆる細胞が古いものから新しいものへと更新されることにより、大きなエネルギーを必要とします。
この機能を活性化させるということは、休んでいても常に身体を動かしてエネルギーを使っている状態であり、身体にかかる負担は大きくなるため次第に消耗してしまいます。
このように、甲状腺ホルモンは少なくても、多くても身体への影響があるため、適度な量に調整されている必要があります。
どのような変化が現れるのか
バセドウ病の基本は、甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬の量を調節しながら甲状腺ホルモンが正常範囲内で分泌されるように治療することです。
しかし、治療を開始してから効果が見られるまで3~4週間ほどかかることや、薬の副作用、生活習慣などでのホルモンの変動による症状とうまく付き合って行かなくてはなりません。
バセドウ病の症状のうち、身体症状では疲労感、倦怠感、脱力感、食欲亢進または低下、体重減少または増加、体温上昇、暑がり、手足の振戦、月経不順、浮腫、動悸、頻脈、息切れなどが見られることがあります。
精神症状では落ち着きがない、不安が強く感情が不安定になる、集中力低下、イライラ、音に敏感になる、不眠といった症状が見られることがあります。
また、身体に現れる外見の変化として、甲状腺が腫れることにより首元が腫れて見える、目の周りの浮腫、眼球突出が見られることがあります。
後編では、毎日の生活の中でバセドウ病と上手に付き合う方法についてご紹介します。
まとめ
バセドウ病に負けずにやりたい仕事をする方法(前編)
甲状腺ホルモンの影響
どのような変化が現れるのか