眼球突出している人はバセドウ病を発症しているのだと多くの方が思われていますが、すべての方ではなく約2割の方で眼球が突出するという症状が出ます。
バセドウ病 が起因の 目 の異常をバセドウ眼症といいます。バセドウ病と目の関係について誤解を無くすためにも、ここでしっかり学びましょう。
バセドウ病と目の関係 バセドウ眼症について学びましょう
バセドウ病と目の病気の関係はまだ不明のまま
バセドウ病になると、約2割の方で目の異常が起こりますが、バセドウ病と目の病気や異常の因果関係はまだ不明です。バセドウ病では甲状腺ホルモン分泌の異常がみられますが、甲状腺機能の異変があるから目の病気になっている、という結果は出ていません。
インターネットやうわさによって、バセドウ病になると眼球が突出する、と誤解されていますが、そうではありません。その逆も同様に、甲状腺が正常に機能していても(バセドウ病ではないのに)眼球が突出する、あるいは目の異常がある、という方もおられます。
目の異常や変化は外見からも目立ちますし、目の機能低下による日常生活の不便もありますので、バセドウ病を発症した方で目の異常を大変心配する方が多いのも事実です。しかし、実際にバセドウ病が起因の目の病気で治療が必要な方は、患者の約3-5%程度ですので、あまり多くありません。
バセドウ眼症とは
バセドウ病が起因の目の病気や異常をバセドウ眼症といいます。どのような症状なのか、具体的に挙げてみます。
痙攣によって上まぶたが下がりにくくなり、外眼筋炎症により腫れが目立ち、眼球の後ろの脂肪組織が増殖します。そのため、まぶたの腫れ、眼球突出、結膜炎、充血、角膜腫瘍、視力低下、複視(ものが二重に見える)などが起こります。
診断方法
目の病気や異常が気になる方は、眼科で検査を受けます。診断方法は、視力検査、眼圧測定、眼球突出度測定、眼球の動き検査、CTそしてMRIによって断層撮影を実施します。この断層撮影によって、外眼筋の腫れ具合、突出度、そして眼球の後ろの炎症が正確に把握されます。
眼球が突出している原因は、眼球の後ろの炎症です。この炎症により、眼球の後ろの脂肪組織や筋肉が増殖しているため、眼球を前方に押し出しているのです。前述のように、バセドウ病が原因で眼球の後ろの炎症が起こっている方もいますが、炎症の原因がまったく別の方もいます。
しかし、眼科の診断で目の病気や異常が判明し、尚且つバセドウ病の自覚症状がある方は、内科あるいは内分泌科を受診してください。目の治療だけではなく、バセドウ病そのものの治療が必要になります。
治療方法
前述の検査によりバセドウ眼症と診断された場合は、炎症を抑える治療が施されます。通常、炎症を起こしている眼球の後ろに放射線をあてる球後照射を2週間行います。また、炎症を抑えるためステロイド点滴を1日1度3日連続で投与します。
その後、ステロイドを内服に切り替えます。これらが病状に応じて繰り返されます。初回の治療には約2-4週間の入院が必要とされています。
しかし、この治療の効果が期待できるのは、眼球の後ろに炎症がある場合だけです。炎症が無いあるいは炎症がすでに治まっているのに目の異常がある、視力低下している、眼球突出している、開眼異常がある、こういったケースでは手術が考慮されることになります。
副作用
放射線をあてる球後照射の副作用はありませんが、ステロイドによる副作用はあります。糖尿病の方の場合は血糖値が高くなる場合もあるため、治療中にインスリンが使用されコントロールされます。
また、ステロイドにより骨粗しょう症が促進させますので、骨密度検査を受けながら骨粗しょう症治療薬も併用してゆきます。
予後
治療を受けた約3割の方でバセドウ眼症の炎症が再発しています。その場合は、前述の治療が繰り返されるか、あるいは手術が行われます。
バセドウ病そのものが長期的スタンスで向き合わなければならない疾患です。したがって、それに伴う目の病気や異常においても、焦らずに治療してゆくことが大切です。
まとめ
バセドウ病と目の関係 バセドウ眼症について学びましょう
バセドウ病と目の病気の関係はまだ不明のまま
バセドウ眼症とは
診断方法
治療方法
副作用
予後