バセドウ病 は、 治療 せず放っておくと合併症を起こす可能性が高く、早期に治療を開始することが望まれます。どういった治療法が行われるのでしょうか。基本の治療は3つです。
前向きに取り組みたいバセドウ病の3つの治療方法
薬物療法
バセドウ病になると、まず甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑える治療が行われます。薬物療法では、抗甲状腺薬(メルカゾール、チウラジール、プロパジール)という薬を服用し、甲状腺ホルモン分泌を抑制します。
服用開始後の血液検査で、甲状腺ホルモン値が正常になると薬の量は減量されますが、あくまでも薬によってホルモン分泌量が抑えられている状態ですので、薬を中断せず当分の間は服用を継続しなければなりません。
通常、約3-5年間服用が継続されます。しかし、甲状腺が特に肥大化している場合、あるいはTSHレセプター抗体値が特に高い場合は、薬物治療の効果が低いという結果がでています。このようなケースでは、薬物治療を継続せずに、別の治療法へ変更されます。
アイソトープ療法
前述の薬物療法で効果がみられず、バセドウ病の症状が改善されない場合は、アイソトープ療法が行われます。この治療では、放射線ヨードを服用し、甲状腺の中から放射線を出すことで甲状腺の細胞を潰します。
服用前後において食事制限がありますが、基本的に放射線ヨードカプセルを毎日服用してゆきます。この治療は効果が出るまでに時間がかかりますが、半年で甲状腺ホルモンが減少し、正常値になります。
欧米では多くの患者がこの治療法を選択しており、安全性も高いため安心して治療が受けられます。ヨードカプセルを服用するため、妊娠中、授乳中の方は治療できず、また治療終了後1年間は妊娠できません(胎児に影響があるためです)。
バセドウ病による眼の異変や炎症が悪化するケースもありますので、眼の異常がある方も治療は受けられません。
手術療法
甲状腺の大部分(約5分の4)を切除する手術です。バセドウ病を確実に治療したい方、薬物療法やアイソトーブ療法の効果がない方が選択しています。
入院期間は2週間で、手術後約1年後にはほとんどの方で甲状腺機能が正常になります。手術後、声がかすれることもありますが、半年後には正常になります。
バセドウ病の合併症について
バセドウ病発症後、治療をせず放っておいたり、治療をしていても重症化してしまった場合は、合併症になる場合があります。ここでいくつか紹介しておきます。
まず、バセドウ病の治療をせず放っておいた方に多く見られるのは、甲状腺クリーゼです。治療をしていないので、疾患がコントロールされておらず、強いストレスがかかった際に、突発的そして極端に甲状腺機能が向上、つまり甲状腺が活発すぎる状態になります。
難病で致死率は10%ほどあります。甲状腺が異常に機能している場合に、外傷、手術、妊娠、分娩を経験すると発症することがあります。具体的には、高熱、神経障害(痙攣、意識障害)、心拍数や血圧の上昇、不整脈などです。
次に、甲状腺中毒性ミオパチーという、甲状腺ホルモン異常分泌と代謝物質が筋肉に刺激を与えることで発症する筋疾患です。バセドウ病だけではなく重症筋無力症や周期性四肢麻痺といった病気が関与しています。具体的には、筋肉障害、痙攣、筋肉痛、筋力低下などです。
そして、甲状腺中毒症周期性四肢麻痺という、低カリウム血症が原因となり四肢麻痺を起こす疾患です。バセドウ病にかかったアジア人と男性が多く合併症になり、具体的には、突発的に身体が動かなくなり、しばらくして正常になるという四肢麻痺を繰り返します。
再発や治癒率について
バセドウ病は放っておいても完治しませんし、また知らずに症状を放っておくことで合併症になる危険性も秘めていますので、バセドウ病特有の症状がある場合は、すぐに治療を開始することが大切です。
しかし、前述の薬物療法では薬服用の中断により約4人に1人で再発しています。数年間に渡り薬を服用し、途中で定期的に血液検査を受け、ホルモン分泌の状態を検査してゆきますので、長期的に症状と向き合わなければなりません。
最も治癒率が高い療法は手術です。甲状腺の大部分を切除するため確実にホルモン分泌量が減り正常になります。しかし、反対に甲状腺の一部しか残らないため甲状腺機能低下症になる可能性もありますので、治癒率は高くてもリスクがあることを自覚しておく必要があります。
どの治療法を選択しても、長期間症状と向き合うため、うまく症状に対応しながら、常に前向きな気持ちで治療に専念してゆきましょう。
まとめ
前向きに取り組みたいバセドウ病の3つの治療方法
薬物療法
アイソトープ療法
手術療法
バセドウ病の合併症について
再発や治癒率について