バルトリン腺炎 とは、外陰部にあるバルトリン腺に大腸菌などの菌が感染することで起こる疾患です。疼痛や熱感を伴い、バルトリン腺が腫大します。ひどい痛みのため歩行困難となることもあります。早期に治療すれば早く治る疾患なので、恥ずかしがらずに婦人科へ行きましょう。
外陰部の腫れはバルトリン腺炎かも!?
バルトリン腺とは
バルトリン腺とは女性の外陰部にある腺で、小陰唇の内側、両側にあります。バルトリン腺は大前庭腺ともよばれ、性的興奮時に粘液を分泌します。
バルトリン腺炎とは
バルトリン腺炎とは、バルトリン腺に大腸菌やブドウ球菌が感染し、炎症を起こしたものです。炎症により排泄管が閉鎖するとバルトリン腺膿疱をきたします。
バルトリン腺膿疱は膿疱のみなら無痛性ですが、感染を伴うと腫脹・疼痛を伴い、小・大陰唇に腫大した膿瘍を形成します。症状として多いのは腫脹・疼痛・熱感・発熱であり、進行すると歩行困難が起こります。
治療
バルトリン腺炎の治療は、初期の場合は抗菌薬になります。感染した菌を同定し、その菌に合った抗菌薬で治療します。広域ペニシリンやセフェム系、ニューキノロン系の抗菌薬を使います。
また、膿が溜まっている場合や、膿疱を形成している場合は、膿疱部分に注射針を指し、吸引して排膿します。この治療と抗菌薬の治療を併用することもあります。ただ、注射針による吸引では、膿が排泄されても袋状の構造は残るため、再発することがあります。
そのため、袋状の構造を開いて排膿する開窓術という手術もあります。開窓術は造袋術とも呼ばれています。開窓術は、バルトリン腺膿瘍の膿瘍部分を切開し、切開部分を周囲の皮膚と縫合して膿瘍部分に穴が開いた状態にする手術方法です。
こうすることで持続排膿でき、また、バルトリン腺としての機能を保つこともできます。この場合は局所麻酔で手術できます。また、バルトリン腺炎・膿疱は重症のものではピンポン玉大になることもあり、あまりに大きい場合は摘出手術を行います。
この場合はバルトリン腺としての機能を保つことは出来ないので、分泌物がでることはなくなります。
予防
バルトリン腺炎は細菌感染なので、外陰部を清潔に保ち、乾燥させることが大切です。バルトリン腺炎の原因菌のひとつに大腸菌がありますが、大腸菌は便の中に多く含まれています。女性の場合は肛門と腟口・外尿道口が近いため、大腸菌による感染症が多くあります。
膀胱炎も大腸菌によっておこる疾患です。大腸菌による感染症を防ぐためには、排便時のお尻拭き方が大切です。排便時にお尻を前から拭くと、便が腟口や外尿道口につき、大腸菌による感染症を起こす原因になります。
なので、お尻を拭くときは後ろから拭くようにしましょう。女性の介護をする場合は特に気をつける必要があります。介護の場合は毎日お風呂に入ることは難しいので、丁寧に拭いて清潔に保つことが大切です。
また、清潔に保つためにはお風呂で洗うことも大切ですが、お風呂で外陰部を洗う際は、洗い過ぎないように注意しましょう。外陰部には様々な菌がいますが、それらの菌は外部から悪い菌が入ってくるのを防ぐ役割もしています。
また、ごしごし洗うと皮膚に傷がつき、感染しやすくなるため、やわらかいタオルや手で洗うことをおすすめします。一方、外陰部の乾燥を保つには、おりものシートやナプキンをこまめに替える、通気性のよいパンツをはくことなどが大切です。
高齢者の場合や介護されている方の場合は、こまめにオムツを替えることも大切です。
最後に
バルトリン腺炎は繰り返すこともあり、放っておくとどんどん大きくなって歩くことさえままならなくなる疾患です。外陰部の痛みを相談することや婦人科に行くことは恥ずかしいかも知れませんが、症状が悪化するほど治療は長引きます。
症状が軽いうちは飲み薬による治療になるので、早い段階で婦人科に行くことをおすすめします。
まとめ
外陰部の腫れはバルトリン腺炎かも!?
バルトリン腺とは
バルトリン腺炎とは
治療
予防
最後に