「悪性腫瘍ってそもそもなに?(前編)」では悪性腫瘍の特徴や分類をまとめましたので、後半部分では悪性腫瘍の治療法や 悪性腫瘍 の中でも女性の網羅率が最も高い乳がんについてご紹介します。
悪性腫瘍ってそもそもなに(後編)?
悪性腫瘍の治療法
悪性腫瘍には数多くの種類があり、それぞれ第一選択となる治療法は異なります。また進行度によっても異なってきます。
外科的切除
根治できる唯一の方法となります。ただし、全身に転移してしまっている場合や、著しく体力が低下しており手術に耐えられない場合などは適応が難しくなります。
化学療法
いわゆる抗がん剤による治療です。これはあくまで補助的な役割で根治することはできません。また、腫瘍部位のみではなく全身に作用することから副作用の発現も頻発します。
化学療法は外科的切除前に腫瘍を小さくすることを目的として行う場合、外科的切除後に残った腫瘍が再発したり、転移するのを予防することを目的とする場合など適応するタイミングや目的に応じて異なってきます。
化学療法が有効なものとして、乳癌、悪性リンパ腫、慢性骨髄性白血病などがあります。
放射線療法
腫瘍細胞に直接作用することで細胞を死に至らしめることができます。これはどの部位にでも適応できるわけではありませんが、放射線の感受性がいい組織に発生した悪性腫瘍、例えば食道癌、子宮頸癌、前立腺癌などに対しては有効な治療法となります。
また、外科的切除を行う際、切除後に残った腫瘍を根絶させる目的で手術中に行われることもあります。
ホルモン療法
ホルモン依存性の悪性腫瘍、例えば乳癌や前立腺癌に対して、腫瘍が増えるのを抑制させる目的で使用されます。
ホルモン療法にもいくつか種類があり、同じ乳癌でも閉経後に発症した乳癌かどうかで使用する薬剤が異なることがあります。
その他
荷電子粒子線療法、免疫療法、温熱療法などの治療法が実施されることもあります。
悪性腫瘍の中の乳癌
乳癌は悪性腫瘍のうち上皮性の固形がんに分類されます。乳癌は予後が良好な悪性腫瘍の1つで、早期の乳癌では10年生存率が約90%といわれています。
悪性腫瘍は全死因の第1位を占めますが、その悪性腫瘍の中の1つである乳癌は女性の悪性腫瘍罹患率の第1位で、約12人に1人の女性が罹患している割合になります。
しかし、女性の悪性腫瘍の死因としては第5位で、これは罹患率の約3分の1にまで減少している結果となります。しかしながら、過去30年間で見てみると乳癌による死者数が増加しているのも事実です。
乳癌の発症増加の背景には、食の欧米化による動物性脂肪の摂取量の増加、初産年齢の高齢化などがあります。
治療は手術が第一選択となることがほとんどですが、同時に90%以上が薬物治療の対象となるため、両方を組み合わせた治療がされることが多くあります。放射線治療が用いられる場合もあります。
悪性腫瘍の今後の展開
悪性腫瘍による死亡率は現在増加の一途をたどっています。そして、悪性腫瘍罹患者は2人に1人の時代になってきました。すなわち、だれがいつ罹患してもおかしくない時代ということです。そこでまず、早期発見が何よりも重要となってきます。
ごくごく小さい腫瘍の段階で発見されれば手術により取り除くことができれば、予後が極めていいことがほとんどです。そのためには少なくとも年に1回は健康診断を行い、何か少しでも違和感を感じたらすぐに専門病院で診察してもらうことが何よりも重要となってきます。
現在、抗がん剤の開発も進んでおり、今後画期的な抗がん剤が開発されるかもしれません。しかし、すべての悪性腫瘍に対して有効となるものができるまでにはまだまだ相当な時間がかかってきます。
これからは、自分の身体にいつもと違うところがないか1日1回問いかけてみてくださいね。それだけで人生が多く変わることがあるかもしれません。
まとめ
悪性腫瘍ってそもそもなに(後編)?
悪性腫瘍の治療法
悪性腫瘍の中の乳癌
悪性腫瘍の今後の展開