「特発性血小板減少性紫斑病とうまく付き合うために(前編)」では、特発性血小板減少性紫斑病とはどのような疾患なのかご説明致しました。
後編では、 特発性血小板減少性紫斑病 における治療方法をご紹介致します。長く付き合わなければならない疾患ですので、上手に疾患とお付き合いしましょう。
特発性血小板減少性紫斑病とうまく付き合うために(後編)
治療にはどんな方法があるのか
急性型ではほとんどの場合、半年以内に自然に治っていきます。その間出血傾向が強くなっていないかを経過観察します。
慢性型ではピロリ菌が影響していると考えられるため、検査でピロリ菌が確認されればピロリ菌の除去を行います。これによって約半数近くの人は血小板が増加します。
効果が見られなかった場合、第一選択はステロイドの内服治療になります。ステロイドは免疫を抑制する作用があるため、自己抗体の働きを抑制することで血小板の破壊を防ぎます。
ほとんどの場合は、ステロイド療法で症状が落ちますが、効果が見られなかったりステロイドの副作用のためにステロイドの内服治療が継続できないことがあります。
その場合は手術で血小板を破壊する脾臓を摘出してしまう方法があります。脾臓には血小板や白血球といった血液成分の貯蔵、赤血球・白血球・血小板の破壊、赤血球を破壊しヘモグロビンから鉄を回収、感染症に対する抗体産生、血液から不要な物質を取り除くという役割があります。
しかしこれらの大部分はその他の器官で補うことができるため大きな問題はありません。そのため、脾臓を摘出することで、破壊される血小板を減らすことができ、結果的に血小板の量を増やせる可能性があります。
しかし、肺炎球菌、髄膜炎菌、インフルエンザ菌などの特定の種類の細菌を防御する働きがあるため、摘出後はこれらの予防接種を受けることが推奨されています。
このような治療をおこなっても効果が見られない場合、次の段階として免疫抑制剤や血小板増殖刺激因子製剤などを検討しますが、血小板増殖刺激因子製剤以外は保険適応外になるため費用がかかってしまいます。
日常生活で気をつけること
この病気は血小板の数を維持することで出血傾向を防ぐことができるため、まずは治療によって寛解状態にさせることを目標にします。寛解状態であれば日常生活への支障はほとんどありません。
しかし、主な症状が出血であるため、あえて出血や打撲をしやすい行動やスポーツは避けたほうが良いでしょう。また、感染が発症の原因になることもあり得るため、手洗い、うがいなどの感染予防を習慣づけます。
それ以外は、出血傾向が見られないか自分でも意識して観察し、症状が現れた場合は早めに受診するようにします。
そのほか、発熱や痛みがあるときに使用する解熱剤や鎮痛剤の中には血液を固まりにくくする成分が含まれているものがあります。そのため、できる限り使用を控え医師に相談するようにしましょう。
まとめ
特発性血小板減少性紫斑病とうまく付き合うために(後編)
治療にはどんな方法があるのか
日常生活で気をつけること