卵巣囊腫はそのほとんどが良性であることが多く、その処置としては経過観察なのか、手術で摘出するべきものなのかを判断しなくてはなりません。放っておいても自然と治るものではないからです。またまれですが手術してみないと良性か悪性かの判断がつかないケースもあります。
今回は、 卵巣嚢腫 の場合どのような 手術 が適応されるのか、また 費用 についてご紹介します。
卵巣囊腫の手術と費用について
卵巣囊腫=即手術とは限らない
卵巣囊腫は、超音波検査によってほとんどを発見することができる病気ですが、見つかった嚢腫はすぐに手術が必要なものと、ひとまず経過観察となるものに診断が分かれます。その確定をするためには超音波検査だけでは不十分のため、卵巣がんの腫瘍マーカーによる血液検査をします。
ほとんどの場合は腫瘍マーカーによって診断がつきますが、場合によってはCTスキャンやMRIなどの検査をすることもあります。これらの過程を経て、悪性であると診断がされた場合に手術となります。
また、良性の卵巣囊腫であった場合でもそれが不妊の原因であったり強い月経痛や腰痛、月経不順等日常生活に支障が出ているような場合にも本人の希望を最大限考慮の上、手術の判断がされる場合もあります。以上のように、卵巣囊腫があっても必ずしも手術になるとは限らないのです。
卵巣囊腫の手術のタイプ
手術のタイプは大きく分けて、お腹を切る方法と、お腹を切らずに腹腔鏡を用いて行う方法があります。お腹を切って処置を行う開腹手術は、安全性の高さとあらゆる症状、また状況への素早い対応が可能という2つの大きなメリットがあります。
反対に、大きく開腹することによる患者の負担増や入院期間・回復期間の長期化、それに伴う費用の増加がデメリットといえます。
対して、腹腔鏡手術は患者の負担が軽い・入院期間の短縮化・短期間で社会復帰できる、入院費用を抑えることが出来るなどの良い点があります。
デメリットとしては、すべての患者や病状に適応できるとは限らないこと、術者に高い技術と豊富な経験値が必要であること、手術による合併症リスクなどが挙げられます。とはいえ、リスクよりも遥かに利点が上回る腹腔鏡手術は、近年急激に増加しているのが実情です。
開腹手術とその費用
開腹手術を行う場合のメリットは安全性の高さが一番に挙げられます。お腹を開き内部や患部を直接見ながら処置を行えるので正確性の高さや術前検査では予知できなかった不測の状況にも柔軟に対応することができます。
開腹手術となるのは、強い癒着がある場合や嚢腫が悪性である場合、成長した子宮筋腫など切除部分が大きすぎる場合などで、腹腔鏡手術では適応できない場合でも開腹手術はそのほとんどが適応できます。お腹を大きく切り開くため、入院期間は10~14日間くらいが一般的です。
手術費用、処置費用、入院費用の総額としては大体25~30万円程度の自己負担額となるのですが、これに個室利用した場合は差額ベッド代の加算も考慮しておく必要もあります。ただしこれらの費用は高額医療保険請求の対象となりますので、実質の負担額は10~15万円ほどです。
腹腔鏡手術とその費用
腹腔鏡手術とは、お腹に小さな穴をあけ、そこから腹腔鏡と呼ばれる小さなカメラを入れて行う手術のことです。実際に処置を行う鉗子などの器具は腹腔鏡と同じ様にお腹の切開部分から挿入する術式と、子宮口から挿入する術式があります。
卵巣囊腫の場合は子宮の外が術野のため、お腹からの器具の挿入となります。腹腔鏡手術の場合は切開部分が小さいために術後の回復までの期間が短く、入院期間はほとんどの場合3~5日程度のため手術費用、処置費用、入院費用の総額としては15~17万円前後で済む病院が多いようです。
こちらも高額医療保険制度が使えますので、実質の自己負担額は7万円程度で済みます。
卵巣囊腫は腹腔鏡手術が合理的
卵巣囊腫の手術の場合、悪性である場合を除いては腹腔鏡手術が合理的との理由から非常に多く適用されています。手術の流れとしては、卵巣囊腫の内容液を細い針で抜いたのちしぼんだ卵巣嚢腫を鉗子で腹壁の上まで引き出します。
このときに直接目視で嚢腫が悪性でないかの確認をします。確認後、嚢腫の部分だけを切除し、卵巣を元通りにお腹の中に戻すという流れになります。卵巣は比較的自由に動く臓器なのでお腹の外まで引っ張り出すことができるために、このような方法をとることができるのです。
直接目視しながらの処置は腹腔内での処置よりはるかに安全性が高まります。また、万が一卵巣嚢腫が悪性だった場合のリスクを減らすこともできるため、開腹術と比較しても腹腔鏡手術の利点をより活かすことのできるのが卵巣嚢腫の手術なのです。
まとめ
卵巣嚢腫の手術と費用について
卵巣囊腫=即手術とは限らない
卵巣腫の手術のタイプ
開腹手術とその費用
腹腔鏡手術とその費用
卵巣嚢腫は腹腔鏡手術が合理的