「沈黙の臓器だからこそ定期的に受診しよう卵巣がん検査!(前編)」では、卵巣がんの症状をお伝えいたしました。後編では、 卵巣 がん の罹患者数や 検査 方法についてご紹介いたします。
卵巣がんが見つかったころにはすでに進行が著しい状態になっているということを避けるためにもしっかりと卵巣がんの知識を理解し意識的に検査を受けるようにしましょう。
沈黙の臓器だからこそ定期的に受診しよう卵巣がん検査!(後編)
ほかの部位のがんと比べて卵巣がんの罹患者数は?
国立がん研究センター内にあるがん対策情報センターの2012年データからの統計によると、生涯がんに罹患する確率は男性が63%で2人に1人以上、女性は47%でこちらも2人に1人となっています。それだけがんは身近な疾患となっているということです。
その中でも卵巣がんの罹患者は9,384人となっています。この数はすべての部位のがん罹患者数からみた場合、女性87人に1人が卵巣がんになっているということになります。
そのほか女性特有のがんである乳房のがんでは11人に1人、子宮がんでは33人に1人、子宮頚部がんでは76人に1人、子宮体部がんでは62人に1人の割合で罹患していることになります。
女性のがんの罹患率が一番高い部位は乳房のがんで、次いで大腸がんの13人に1人となっています。全ての部位のがん罹患リスクを100%とした場合、卵巣がんの罹患率は1%程度のため比較的低めと言えます。
しかし近年、食事が欧米化してきたことで肥満が増加したり、たばこを吸う女性が増えたことにより、年々卵巣がんの罹患者数が増加しています。またすでに上記に示したように、非常に発見しづらい癌であるために卵巣がんの検査は積極的に受ける必要があるのです。
卵巣がんの検査とは?
市町村で実施されている健康診断を受けることによって、がんだけでなくさまざまな疾患が早期に発見されるようになりました。
しかし卵巣がんに関しては厚生労働省によるがん検診の対象になっていない上に、初期症状からは気づきにくいために、異変に気付いた時には既に進行が進んでしまっているという疾患です。
そのためできる限り一人一人が特徴をしっかりと理解し、個別に卵巣がんの検診を定期的に受ける必要があります。
しかし卵巣に腫瘍がみつかっても、それが良性か悪性かの判断は開腹して細胞を採取して病理診断をおこなわない限りわからないという難しい疾患です。
では卵巣がん検査にはどのようなものがあるのでしょうか。
1つ目は家族の中に卵巣がんの人がいるかどうかの問診をします。がん抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子に問題が生じると卵巣がんや乳がんになる可能性が高くなることがわかっています。
この遺伝子は親から子へ、子から孫へと代々引き継がれていくものという点から、家族内に罹患者がいた場合卵巣がんになるリスクが高くなってしまうのです。
2つ目は下腹部に違和感があるかどうかの問診と触診です。膨満感があったり、下腹部を押してみてしこりを感じたり痛みがあった場合は、既にがん細胞が大きくなっている可能性があります。
3つ目は血液検査による腫瘍マーカーの結果です。CA125という値が高値になることで卵巣がんの可能性が高くなります。しかし子宮体がんや消化器のがん、乳がんなどでも高値をあらわすため、さまざまのがんの罹患と進行の目安として利用されます。
そして異常値が出た場合は、それに伴い超音波、MRI、CT検査などを追加でおこなうようになります。
4つ目は超音波、MRI、CT検査です。触診で分からない場合でも卵巣がんが進行し始めている可能性もあります。しかし自覚症状もなく視感的にも確認しづらい疾患のため画像検査が重要になります。
中でも一般的な超音波検査ではなく、膣から超音波検査をすることで卵巣の腫れを確認することができるため異常も確認しやすくなります。そして上記以外に比較的新しい検査としてPET検査があります。
まだ多くの病院での実施には至ってはいないものの、非常に初期段階の卵巣がんも発見できる可能性が高いと言われている検査です。
通常がん細胞が大きくなるためには細胞は多くのブドウ糖を取り込もうとする習性があります。そこで18F-FDGというブドウ糖に似た薬剤を注射したのちにPET-CT検査をおこなうと、がん細胞が光り、がん細胞の詳細が確認できるということになるのです。
早期の段階で見つけにくい卵巣がんにとって、とても期待のもてる検査になります。卵巣がんが見つかったころにはすでに進行が著しい状態になっているということを避けるためにもしっかりと卵巣がんの知識を理解し意識的に検査を受けるようにしましょう。
まとめ
沈黙の臓器だからこそ定期的に受診しよう卵巣がん検査!(後編)
ほかの部位のがんと比べて卵巣がんの罹患者数は?
卵巣がんの検査とは?