「大人の髄膜炎の症状はどんなもの?(前編)」では、大人の髄膜炎の症状や頭痛の特徴についてご説明いたしました。後編では、 大人 の 髄膜炎 で起きる頭痛の注意点についてご説明いたします。
なかには、髄膜炎を患っても 症状 のでにくい方もいますので注意が必要です。
大人の髄膜炎の症状はどんなもの?(後編)
髄膜炎で起こる頭痛の注意点
細菌性髄膜炎よりも、もっとゆっくり長い時間をかけて悪化する頭痛(数週間~数ヶ月。亜急性や慢性の経過と呼ばれます)を生じる髄膜炎もあることに注意が必要です。
結核(昔の病気と思っている方も多いのですが、日本ではいまだに結核は珍しくない病気です)、梅毒(近年患者数が増加しており、大きな問題になりつつあります)、真菌、寄生虫などの感染症による髄膜炎やサルコイドーシスなどの自己免疫性疾患による髄膜炎では経過が長いことが知られています。
さらにこれらの髄膜炎では熱がないことも少なくありません。またここまで頭痛の話を中心に説明してきましたが、髄膜炎の患者さんによっては“頭が痛い”とは訴えずに、後頸部痛を訴える(“首の後ろが痛い”と表現されます)ケースがあります。
これが細菌性髄膜炎の3徴でもふれた項部硬直と呼ばれるもので、前後方向に首を動かすと痛みが増強します。病院で医師が髄膜炎の疑いがある人に対して“あごを自分の胸につけてみてください”と指示することがありますが、これは項部硬直の有無をチェックしているのです。
首の後ろが痛くてあごを胸につけることができない場合、項部硬直ありと判断します。なお項部硬直はあくまで首を前後に動かした際に起こる痛みです。
左右に動かしたときや、首を回したときに痛みが出る場合は頸椎偽痛風(けいついぎつうふう。クラウン・デンス・シンドロームとも呼ばれる病気です)など他の病気を疑います。
髄膜炎になっても症状が出にくい人
髄膜炎を生じていても頭痛や発熱などの症状が出にくい人がいることに注意が必要です。ステロイドや免疫抑制薬(膠原病や自己免疫疾患などの病気に対して使用されます)を使っている方は髄膜炎になっても頭痛や発熱がない、あるいはあっても程度が軽いという場合があります。
これは実は髄膜炎に限らず他の病気になったときも同様で、盲腸(虫垂炎)なのに痛みがない、あるいは肺炎を起こしているのに熱がない、といったことが起こります。 ステロイドや免疫抑制薬を処方されている方は注意してください。
まとめ
大人の髄膜炎の症状はどんなもの?(後編)
髄膜炎で起こる頭痛の注意点
髄膜炎になっても症状が出にくい人