近年タレントたちの公表などにより女性にとって乳がんはより身近に感じるようになり、定期的に乳房を触ってセルフチェックする人たちも増えているようです。しかししこりができたり痛みを感じる乳房の病には乳腺嚢胞という良性のものもあります。
今回は 乳腺嚢胞 をご紹介します。
乳房にしこりが!これは乳がん?乳腺嚢胞?(前編)
乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)とは?発見方法とは?
乳腺嚢胞とは乳腺症の一種です。乳房内の乳腺(にゅうせん:乳房内の乳汁を分泌する器官)に袋状のものができて分泌物が詰まってしまう良性の腫瘤(しゅりゅう:しこりやこぶ)を指し30代から50代の女性に多く見られます。
症状としては乳房の張りや乳頭からの分泌物、乳房の痛み、圧迫感があります。乳腺嚢胞の場合、腫瘤の中に分泌されているものは単なる水で、腫瘤内の水分量の変化により腫瘤自体の大きさや位置には変化があります。
強い痛みがある場合は嚢胞内の水分を注射で吸引する方法が取られますが、基本的には特に治療の必要もなく自然に水分がなくなる状態を待つことになります。
乳腺嚢胞は主に市区町村などで実施されるマンモグラフィー検査や自身で乳房を触ってしこりや痛みなどの症状が出始めることで乳房検査を受けた結果わかる場合が多いようです。
マンモグラフィーでは乳腺が白く映り、脂肪は黒く映ります。しかし乳房内に腫瘍などがあった場合も白い影として映し出されます。
40代以降の女性は乳腺が脂肪に変わりはじめて、黒く映し出される部分が多くなります。そのため40代以降の女性は腫瘤などの異常が比較的見つけやすいといわれています。
マンモグラフィー検査ではより高齢になるほど乳腺が脂肪に変わる箇所が増えて、若い世代の女性より黒く映写される部分が多くなります。そのため大部分の黒に、異常を示す白い部分が映し出されることで問題が見つけやすい状態になるのです。
年齢が若いころは乳腺が非常に発達しているため腫瘍などの白い影が乳腺の白と重なって病原を探しにくい状態にあります。
また乳房にも張りがあるため触診をおこなっても小さいしこりの場合見つかりにくい状態なのです。そのため問題箇所があった場合もマンモグラフィー検査だけでは判断することは難しく、加えて超音波検査を勧められる場合が多いといわれています。
マンモグラフィー検査では白く映し出されただけでは良性か悪性かの判断が難しく、超音波検査では乳がんとそうでない腫瘤では判断がつけやすくなります。
しかし超音波検査でもその判断が難しい場合は穿刺吸引細胞診や針生検をおこないます。穿刺吸引細胞診とは注射器で腫瘤内の液体や細胞を採取して組織の確認をする検査です。
採取した細胞や液体が良性だった場合はこの穿刺吸引細胞診で診断を確定する場合が多いですが、腫瘤に水ではなく血が混じるなど悪性の可能性が疑われる場合は腫瘤の一部の組織を針で採取する針生検も追加して診断をおこないます。
まとめ
乳房にしこりが!これは乳がん?乳腺嚢胞?
乳腺嚢胞(にゅうせんのうほう)とは?発見方法とは?