「若い女性を襲う、乳癌のトリプルネガティブ(前編)」では、乳癌での病理検査の必要性についてご説明いたしました。後編では、 トリプルネガティブ の 乳癌 の場合、どのような薬物療法が選択肢としてあるのか、また再発についてご説明いたします。
若い女性を襲う、乳癌のトリプルネガティブ(後編)
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限られる薬物療法
トリプルネガティブは、乳癌全体のおよそ10~15%ほどと少なく、比較的若い女性に多い傾向があります。
治療法としては、受容体を持つ乳癌の場合は、ホルモン剤、分子標的薬、抗がん剤の中にいくつか効果のある薬剤があるため選択肢が広いのですが、トリプルネガティブの場合は標的となる受容体がないため抗がん剤治療が主体となります。
いくつかある抗がん剤を1つずつ試しながら癌細胞に効果を示す薬剤をみつけなくてはならず、受容体を持つ乳癌とは違って効果のある薬剤が限られてしまうのです。
さらに、抗がん剤はホルモン剤や分子標的薬のように特定の細胞だけを攻撃することができないため、正常な細胞も同時に攻撃してしまいます。そのため、免疫力が低下することによるさまざまな副作用があらわれます。
すぐに効果のある抗がん剤がみつかれば良いのですが、1つずつ抗がん剤を試すたびに免疫力が低下し、感染症や体力との戦いになります。
また、一度抗がん剤を使用したあとは、免疫力が戻るまで2~3週間の間隔をあける必要があり、その間にも癌細胞は増殖を続けていることからも予後が悪く悪性度の高い乳癌といわれています。
再発率の高さを克服する
トリプルネガティブの乳癌は、治療が難しいだけでなく、進行が早いため発見したときにはすでに離れたリンパ節や臓器に転移がみられることも少なくありません。それに加え、効果のある薬剤が限られることから他の乳癌に比べて術後2~3年で再発する可能性が高いのです。
しかし、早期発見であり腫瘍が小さいほど完治できる可能性も高まり、術後4年が経過すると再発率は減少するといわれています。また、生活習慣を改善し食事を低脂肪食にする研究により、再発率の減少がみられたという結果もあります。
トリプルネガティブの乳癌に限らず、癌の治療が終わってからも癌が生存しづらい体内環境を維持することが大切です。食生活や運動などを意識して改善することにより乳癌の再発を防げる可能性があるといわれています。
再発率や生存率を聞くと不安でいっぱいになると思いますが、数値に惑わされず、今できることを意識していくことがトリプルネガティブと向き合うことにつながるのです。
まとめ
若い女性を襲う、乳癌のトリプルネガティブ(後編)
限られる薬物療法
再発率の高さを克服する