乳癌 の罹患率は年々上昇し続けており、90年代には胃癌、大腸癌を抜いて、女性の罹患率ではトップとなりました。一口に「乳癌」といっても、腫瘍には様々なタイプがあり、その人に合った、個別化された治療が行われています。 手術後 、具体的にはどのような治療が行われていくのでしょうか。
乳癌の手術後の治療は、どのようなものがあるのでしょうか(前編)
手術後の「病理診断」で、今後の治療方針を決定します
手術後、病理医により、切除した腫瘍の病理診断が行われます。病理診断では、腫瘍の組織を染色して顕微鏡で詳しく観察し、乳癌の組織の型、癌細胞の悪性度(グレード)、増殖する能力(ki67)、リンパ節転移の個数などを調べ、その結果をもとに今後の治療方針を決定します。
病理診断は、通常、2週間前後の時間を要し、その結果は主治医から患者に伝えられます。自分の癌がどのような性質で、今後どういった治療が必要になるのか、自身でしっかりと理解しておきましょう。
「抗がん剤治療」で、全身に散らばっているかも知れない癌細胞を叩きます
病理診断において、癌の増殖力が高い場合、また、リンパ節転移が4個以上の場合など、総合的に再発が高リスクであると判断されれば、抗がん剤治療を行います。抗がん剤治療は、既に全身に回っているかも知れない癌細胞を増殖する前に叩き、根絶させることが目的です。
抗がん剤は通常、数種類を組み合わせて使用します。乳癌で代表的なFEC療法は、F(フルオロウラシル)、E(エピルビシン)、C(シクロホスファミド)を組み合わせた治療法で、投薬から休薬期間を含めて3週間、これを6サイクル完遂することで、再発する1,000人のうち、約330人の再発を防ぐというデータがあります。
抗がん剤の副作用としては、吐き気や脱毛、白血球の減少などがありますが、副作用の出方には個人差があります。主治医とよく相談して、副作用が強い場合は我慢せずに伝えましょう。
後編では、切除手術や放射線治療、分子標的薬、ホルモン治療についてご紹介します。
まとめ
乳癌の手術後の治療は、どのようなものがあるのでしょうか(前編)
手術後の「病理診断」で、今後の治療方針を決定します
「抗がん剤治療」で、全身に散らばっているかも知れない癌細胞を叩きます