乳腺炎は授乳期の母親が悩まされることの非常に多い病気です。母乳が乳房の中に溜まって炎症を起こす「うっ滞性乳腺炎」は、乳頭からの細菌感染で「化膿性乳腺炎」になってしまうこともあります。
そんな 乳腺炎 に 葛根湯 が有効だという耳よりな情報をご紹介いたします。
葛根湯を上手に使って防ごう乳腺炎の重症化
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乳腺炎とは
乳腺炎は乳房が赤くなって腫れて、発熱や疼痛などを伴うことがある乳腺の炎症です。授乳期にみられる乳腺炎には乳管が軽く詰まって乳腺が腫れて痛い状態から、乳頭から侵入した細菌に感染して、乳房膿瘍の状態に至るまでさまざまな段階の症状があります。
医学的に乳腺炎を分類すると、乳腺炎は乳汁うっ滞という状態から始まります。これは乳房に溜まった乳汁が濃縮されて乳管を閉塞するためにその部分の乳腺が腫れて痛い状態です。腫れた部分は多少の熱っぽさを感じることが多いようです。
この時期であれば、適切なマッサージを施したり、食事内容に注意して休息をとることによって自然に症状が改善します。
次の段階になると、乳房の一部が腫れて赤くなるだけではなく、発熱することがあります。体温は38℃台になることもありますが、前段階と同様に適切なマッサージと食事と休養で自然に改善することもありますが、医師や助産師の診察が必要になる場合もあります。
細菌感染性炎症となる最終段階では乳房全体が腫れて、赤化し、非常に強い痛みを伴うようになります。39℃以上の発熱を伴うこともあって、体の震えを感じるほどの悪寒を感じるようなこともあります。
このような場合には、乳腺の周辺組織に膿が溜まってしまう乳房膿瘍になっている場合があります。
乳房の症状と38℃以上の発熱がある場合、細菌感染のある場合もない場合も考えられますが、解熱鎮痛剤や抗生物質の投与が必要なことがありますので、医師や助産師の診断を受けた方がよいでしょう。
乳腺炎と葛根湯
葛根湯はマメ科のクズの根である葛根やマオウ科の地上茎である麻黄・桂皮・芍薬・甘草・大棗・生姜など7つの生薬から作られた漢方薬で、風邪のひき始めによく効くことが知られています。
体を温めて、熱や腫れを取り、痛みを発散させるのが主な効能とされていて、風邪のひき始めだけではなく、頭痛や肩こり、筋肉痛にも効果があることもご存知の方が多いかもしれません。
葛根湯には痛む場所に滞っている気や血、水の流れをスムーズにする作用があると言われています。とりわけ、主成分の葛根には乳汁の分泌を促進する働きがあるために、乳汁がスムーズに流れるようになって、詰まりが解消されると言います。
また、葛根湯の成分のひとつである芍薬には止血や止痛の働きがあるために腫れのために痛む乳腺炎の症状を緩和するという効果もあります。
乳腺炎での葛根湯の用い方
風邪のひき始めに最も効果があるのと同様に、乳房に違和感を感じた乳腺炎の初期段階で葛根湯を飲むのが、最も効果的です。
乳腺炎になる前の小さなしこりができた時点、授乳直後にもかかわらず、乳房のハリがとれないと感じたりするようなときに飲むと本格的な乳腺炎になることを防ぐという効果があると言います。
葛根湯の用法・用量の説明書によると、食事の30分前または食後2時間以降に白湯で服用するようにとなっています。これは葛根湯が胃に何も入っていない状態の方が吸収力がよく、最も効果が出ると考えられているためです。
また、葛根湯は、服用後30分~2時間で最も血中濃度が高くなり、4時間経つと成分が体外に排出されることが知られています。
葛根湯に含まれる麻黄に興奮作用があるエフェドリンが含まれていますので、母乳を飲む赤ちゃんへの移行が心配な場合は、服用後4時間後に排尿や搾乳をしてから授乳するようにしてみてはいかがでしょうか。
乳腺炎の初期段階を過ぎて、乳房が硬くなってしまったり、発熱があるような場合には、葛根湯では手に負えない状態になっている可能性があります。そのような場合には医師や助産師を受診するようにしてください。
葛根湯は基本的に授乳期の方の風邪薬としても処方されるものですが、1日の容量や用法をきちんと守って服用することが大切なのは言うまでもありません。
まとめ
葛根湯を上手に使って防ごう乳腺炎の重症化
乳腺炎とは
乳腺炎と葛根湯
乳腺炎での葛根湯の用い方