わが国では、国が費用を補助する検診で40歳以上の乳癌好発年齢の方が2年に1回、マンモグラフィー検診を受けることが勧められています。もっと若い世代である20代・30代の乳癌検診の必要はないのでしょうか。
20代 の 乳癌 検診 についてご紹介いたします。
必要それとも不必要?20代の乳癌検診
20代・30代の乳癌検診
どのような病気でも早期発見・早期治療が大切だと言われているので、乳癌も若い世代から検診を受けた方がいいのではと考えがちですが、意外なことに専門医は30代以下の若い年代には原則として画像診断を勧めないと言われています。
この世代の乳癌は稀なために、癌が見つかることより検診のデメリットの方が大きいために、月に1度の自己検診を習慣づけることは大切であるものの、マンモグラフィーなどの画像診断を受けることは勧めないのだといいます。
昨今、著名人がSNSなどで乳癌の闘病を公表したりすることの影響もあって、「若い年代の乳癌が増加しているのではないか」という不安をいだく方が多くなってきています。
国立がん研究センターの資料によると2011年に乳癌と診断された72,472人のうち、20代は0.3%だといいます。2007年を調べてみても20代は0.4%です。
乳癌全体の患者数が増加しているために、若い年代の患者数も増加しているには違いありませんが、年代別の罹患率にはほとんど差がないということがわかります。
若い世代の検診のデメリットとは
まず1つ目のデメリットとして、若い世代は乳腺の濃度が濃いので、マンモグラフィー検診の有効性が低く、マンモグラフィー検診を受けても必ずしも乳癌を見つけられないという点があげられます。
また、乳腺の濃度に影響を受けないと言われている超音波検診は技術者のレベルに差があり過ぎることが問題視されています。
2つめのデメリットは検診で「疑いあり」という擬陽性の状態になった場合に受ける精密検査が微弱ながらもマンモグラフィーで放射線を浴びたり、生検で乳房に針を刺したりする身体的な負担となることだと言われています。
実際、わが国の研究によれば、1,000人が検診を受けると83.5人が擬陽性になるという報告があります。
さらに、3つ目のデメリットは精密検査の結果が出るまでに「自分は癌かもしれない」という精神的なストレスをかかえることだといいます。このようなストレスが原因でうつ病になってしまうようなこともあるようです。
もっとも、乳癌好発年齢の40~75歳までの女性は検診を受けて死亡率を下げるというメリットが上述のようなデメリットを上回ると考えられています。
若い年代にお勧めのセルフチェックとは
若い世代は全く乳癌にならないということではないので、自分で自分の健康を守るために月に1回のセルフチェックを行うことが推奨されています。
まず、生理が終わったタイミングで、鏡を見ながら乳房にくぼみやひきつれがないか、乳頭から血液などの分泌物がないか観察します。
次に、人差し指から薬指まで3本の指の腹の部分でくまなく乳房を触ってみて、固いものがないか調べます。
生理前に固いものが触れてもほとんどの場合は月経前症候群によるものですが、乳癌の場合にはいつも固い小石のようなものがあり、それが動かないのが特徴だと言います。
上述のようなセルフチェックをして問題点があれば、乳腺科・乳腺外科を受診するようにすれば、早期に診断を受けることができます。
「乳癌ハイリスク」という例外
遺伝性乳癌や家族性乳癌と呼ばれるケースはご存知のように若い世代から発症することがよく知られています。
したがって、傷ついた細胞の遺伝子を修復する働きをもつ2つの遺伝子のどちらかに異変があることが確認されている方や血のつながりのある方の中に乳癌や卵巣癌になった方が多く、乳癌になりやすい体質をもっている方は、乳腺専門医に検診の相談をすることをお勧めいたします。
必要であれば検査や遺伝カウンセリングなどを受けることも可能です。
まとめ
必要それとも不必要?20代の乳癌検診
20代・30代の乳癌検診
若い世代の検診のデメリットとは
若い年代にお勧めのセルフチェックとは
「乳癌ハイリスク」という例外