レストレスレッグス症候群とも呼ばれるむずむず脚症候群は足の裏、ふくらはぎ、太ももなどに痛みやかゆみ、虫が這うような不快感などを感じて、じっとしていられなくなる病気です。
夕方から夜にかけて、とりわけ床に就いてから症状があらわれるため不眠に悩む方も多いようです。 むずむず脚症候群 の 原因 についてご紹介いたします。
脚ではないむずむず脚症候群の原因とは
日本におけるむずむず脚症候群
むずむず脚症候群の病態そのものの歴史は古く、17世紀にはその記録が残されていると言います。ただし、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)と名づけられたのは1960年代に入ってからのことです。
日本では患者が極めて少ないとみなされて、この病気について詳しい医療機関もほとんどありませんでした。そのため、患者の多くは末梢神経の障害もしくは坐骨神経痛などと診断されることが多かったようです。
近年の研究によれば、日本人の2~4パーセントの方がこの病気で、女性は男性の1.5倍の患者数であることが明らかになってきました。
就床時から症状が出始めることが多いため不眠に陥り、睡眠障害を引き起こすなどという問題の他にも抑うつを生じさせる可能性も指摘されています。
むずむず脚症候群の特徴
脚の奥深くに気持ちの悪い感覚があってなかなか寝つけない、または何度も途中覚醒してしまうことがあります。気持ちの悪さには痛み、かゆみ、虫が這うような不快感などさまざまな訴えがあるようです。
夕方から夜にかけて症状が出てくることが多く、歩き回っているとその不快感が軽減されます。
脚の不快感からなかなか寝つけなかったり途中覚醒することで、充分な睡眠をとることができず、日中に眠気や疲労感を感じることがあります。
座り続けていると脚を動かしたくてたまらなくなってしまい、動きを止めようと思っても止めると脚に不快感があって止められないことがあります。
このような症状に思い当たる方は睡眠の専門医や睡眠障害を取り扱っている神経内科・精神科を受診することをお勧めいたします。
むずむず脚症候群の原因
不快な症状があらわれるのは脚ですが、むずむず脚症候群の原因は脚ではなく、神経に関係していると考えられています。
むずむず脚症候群がどのようなメカニズムで発症するのかはまだ完全に解明されていませんが、遺伝的なもの、鉄の欠乏や代謝異常、脳内のドーパミン神経機能障害などが関係しているのではないかと言われています。
脳内のドーパミンには神経の興奮を抑える働きがあるので、ドーパミン不足が運動や感覚の神経の興奮をもたらすのではないかと考えられているのです。ドーパミンには人間が外界から受けるさまざまな刺激の中から些細な刺激をカットする働きがあると言います。
人間にとって重大な刺激に迅速に対応できるように不要な刺激を遮断しているわけです。
ドーパミンが何らかの理由で神経細胞間で受け渡しされないと、本来ならカットされるはずであった些細な刺激が必要以上に伝わってしまうために、むずむず脚症候群が発症するというのが有力な仮説だと言います。
ドーパミンそのものを作るためにも脳内の神経細胞でドーパミンを受け取る受容体が正常に働くためにも鉄分が必要です。そのため、鉄分の欠乏はむずむず脚症候群の原因となってしまいます。
他の病気の二次的な症状としてむずむず脚症候群を引き起こすこともあります。その代表的な病気には慢性腎不全、鉄欠乏性貧血、パーキンソン病などがあります。
また、脳内のドーパミンを作るためにもそれを受け取る受容体が正常に働くためにも鉄分が必要であることから、月経過多や妊娠による鉄分の不足が原因となることもあります。
男性に比べて女性にむずむず脚症候群の方が多いのはそのような女性特有の事情が関与しているとも考えられています。
むずむず脚症候群のさらなる問題点
むずむず脚症候群の方は交感神経が活発になっているために血圧が高くなったり、脈拍が増えることが多いようです。そのため、むずむず脚症候群でない方に比べると心血管疾患発症のリスクが2倍になってしまうという報告があります。
また、不眠や昼間の活動性の低下が心の病気をまねきやすくなり、鬱病の発症リスクも2倍になると言います。
専門医を受診するとそれぞれの方に応じた生活習慣の見直しや薬物による治療などを受けることができます。疑わしき症状がある方は受診してみることをお勧めいたします。
まとめ
脚ではないむずむず脚症候群の原因とは
日本におけるむずむず脚症候群
むずむず脚症候群の特徴
むずむず脚症候群の原因
むずむず脚症候群のさらなる問題点