一日の仕事が終わると足がパンパンにむくんでしまって、靴やブーツに入らないほどになってしまった経験はありませんか。むくみに痛みが伴うときには思いがけない病気が潜んでいる可能性もあると言います。
むくみ で 足 が 痛い という場合に考えられることをご紹介いたします。
静脈還流障害だけではないむくみで足が痛い原因
足のむくみのメカニズム
下肢の静脈は静脈還流といって重力に逆らって心臓に流れていきます。その血流を助けるために静脈には逆流防止の弁があります。
また、第2の心臓と呼ばれるふくらはぎなど足の筋肉の筋ポンプの作用が血流を促す働きをします。
立ったままや座ったままなどの姿勢を長時間続けると、足の筋ポンプの働きは低下してしまいます。その結果、心臓に向かう血液が滞ることになります。下肢で静脈還流が滞ると、下肢静脈内の圧力が高まるために血管に炎症が起こってしまいます。
そうすると、血管内から血管外に血液の血漿成分という水分が滲み出るようになってしまいます。細胞外に溜まった水分こそが下肢のむくみの原因となるのです。
この状態が慢性化すると、静脈に備わった逆流防止の弁の機能も低下してしまい、むくみの症状がさらに悪化するようなこともあります。
さらに放置した場合には静脈瘤や色素沈着、皮膚潰瘍などという病気になることもありますので、早めに対処することが大切になってきます。
痛みを伴うむくみの原因となる病気
腎臓病
ご存知のように腎臓は血液をろ過して老廃物を尿として体外に排出する働きをしている臓器です。この働きが何らかの原因で低下してしまうと血液中に老廃物が残留してしまったり、大切な栄養素を排出してしまったりというようなことが起こってきます。
腎臓に炎症を起こす腎炎や血液のろ過ができなくなるネフローゼ症候群などが具体的な病名としてあげられます。腎臓に異常がある場合には、足だけではなく、手や顔などもむくむのが特徴的です。
特に顔が満月のように丸くパンパンにむくむことをさしてムーンフェイスと言われることはよく知られています。
甲状腺機能低下
甲状腺は代謝を司るホルモンを分泌している器官です。何らかの原因で甲状腺機能が低下してしまうと、代謝が落ちてしまいます。新陳代謝が悪くなるので、むくみが生じます。
手足や首などのむくみだけではなく、急激な体重増加がみられる場合には甲状腺機能の低下の可能性があります。この病気は女性に多いことがよく知られています。
静脈瘤
足の血管がうねうねと曲がって浮き上がる静脈瘤も痛みを伴うむくみの原因になります。
ビタミンB1不足
病気ではありませんが、摂取した糖質を体内でエネルギーに変えるビタミンB1が不足すると、足がしびれたり、痛みを伴うむくみが生じたりすることがあります。
上述した病気の場合に共通して言えることは、むくみは心臓から遠い足に生じやすいものであり、心臓より上にある首や顔などに痛みを伴うむくみが生じた場合には注意が必要な場合が多いということです。
慢性的にむくみが続き、痛みを伴うような場合には受診することをお勧めいたします。
むくみの原因となる静脈還流障害
女性は男性に比べて、筋肉量が少なく代謝が高くないために冷えやすく、血行が悪くなりやすい上に女性ホルモンのバランスの影響もあってどうしてもむくみやすいと言われています。
特に、日本人の40~50%が予備軍だと言われているのが静脈還流障害による足のむくみです。
静脈還流障害とは上述したように、下肢静脈の血流が滞ることによって静脈圧が上昇し、その結果静脈の逆流を防ぐ弁の機能が低下することで血漿成分が滲み出てむくみの原因になるものです。
静脈還流障害は長時間の立位・坐位・運動不足・加齢・肥満・妊娠などが原因になります。
命に関わるような病気ではありませんが、放置していると静脈瘤や色素沈着、静脈性皮膚潰瘍などになってしまうおそれがあります。
さらに危険な状態が深部静脈血栓症です。深部静脈とは足の筋膜より奥にある血液の90%を心臓に戻す働きをしている太い静脈です。
この静脈に血栓ができて、血栓の一部が肺に流れてしまうと肺血栓塞栓症になり、激しい胸痛や呼吸困難を引き起こしてしまうことがあります。
「エコノミークラス症候群」とも呼ばれるこの病気は、最悪の場合死に至ることもあります。
たかがむくみと放置せず、早めに対処することが大切になってきます。特に痛みを伴うむくみの中には医師の治療を必要とするものがあるので、安易にセルフケアをするのではなく、きちんと診断を受けることをお勧めいたします。
まとめ
静脈還流障害だけではないむくみで足が痛い原因
足のむくみのメカニズム
痛みを伴うむくみの原因となる病気
むくみの原因となる静脈還流障害