メニエール病 という病気について“めまい”という症状はよく知られていますが、めまい=メニエール病ではありません。ここではあまり知られていないメニエール病の本態とは何かについて、原因やめまいの種類など詳しく記載します。
あまり知られていないメニエール病の本態とは
めまいの種類
めまいといっても船に揺られるようなクラクラするもの、立ち上がった瞬間目の前が真っ暗になるもの、安静にしていても目の前がグルグル回っているように感じるものなどさまざまです。
メニエール病で起こるめまいはグルグル回る回転性のめまいで、同時に低音域の音が聞こえにくくなるというのが特徴です。めまいを感じる期間はその時々で差があり、数時間で収まる場合や、半日以上続く場合があります。
その上めまいが数日にわたって繰り返し襲ってきます。また、間隔も決まりはなく数週間で再度めまいを感じることもあれば、1年以上感じない場合もあります。
回転性のめまいのため、船酔いなどのように吐き気を伴うこともあります。歩くことはもちろん、座っていてもグルグル回る感じが取れず、頭を動かすと悪化します。
なぜめまいが起こるのか
メニエール病は内耳に問題があるために起こります。内耳は蝸牛・前庭・半規管の3つから構成されています。半規管はリンパの流れによって平衡感覚を維持する受容器官です。
このリンパ液が過剰になると内リンパ水腫が出来、リンパの流れが正常でなくなるために平衡感覚が失われ、めまいを起こすと考えられています。
メニエール病とは
メニエール病とは難聴(特に低音域)を伴う回転性のめまいが主な症状として現れる、内リンパ水腫のことを指します。正確には、難聴症状のみ、回転性のめまいのみ、またはその両方の症状があったとしても内リンパ腫がなければメニエール病とは診断されません。
内リンパ水腫を伴わない回転性めまいを、前庭型メニエール病と診断されることがありますが、詳しく検査をしてみると前庭神経炎や痙性めまいなど別の疾患である場合があるため、“メニエール”を使用するのは正しくないという議論があります。
メニエール症候群はメニエール病ではありません
メニエール病と同じような症状が出るものの、リンパ水腫が認められない場合にメニエール症候群という診断が下される場合があります。
詳しく調べていくと、ウイルス性内示障害、頸椎のゆがみや自律神経の乱れに起因するもの、内耳梅毒、中枢神経系の疾患などが見つかる場合があるので、耳鼻咽喉科で詳しく調べて原因を突き止めなければ正しい治療法が見つかりません。
メニエール病かと思ったらどこの科を受診するべきか
内耳の病気なので耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。これで異常がなかった場合はストレスや自律神経の乱れ、頸椎に神経が圧迫されて起こるめまいだと考えられるので、整形外科や心療内科などを受診してみると良いと思われます。
メニエール病の治療方法
対症療法として吐制剤やステロイドを点滴することがあります。これはめまい発作時の吐き気のために内服薬を投与しにくいためです。
また、内リンパ水腫を軽減させると症状の改善が期待できることから、強い浸透圧による脱水力があるイソソルビドという利尿剤の一種や、内耳の血液循環を改善する薬、炎症を抑えるステロイド剤などが使われます。
他にも鼓膜内にゲンタマイシンなどの抗生物質を注入して、前庭細胞を変性することにより平衡感覚を改善し、めまいを軽減させる治療法もあります。
重症例では手術によって内リンパ嚢を除去したり、前庭神経を切断したりすることもあります。
まとめ
あまり知られていないメニエール病の本態とは
めまいの種類
なぜめまいが起こるのか
メニエール病とは
メニエール症候群はメニエール病ではありません
メニエール病かと思ったらどこの科を受診するべきか
メニエール病の治療方法