最近有名人の乳がん報道から乳がんへの関心が非常に高くなってきています。現代は医療が進歩したために、ガンといっても早期発見・早期治療ができれば決して不治の病ではなくなっています。
ここでは乳がんを早期発見するためのツール、 マンモグラフィー について解説します。
乳がんを早期発見するためのツール、マンモグラフィー
- 目次 -
マンモグラフィーって何?
マンモグラフィーは乳房専用のX線撮影機およびそれを用いた乳がん早期発見方法です。健康診断でおこなわれる胸部X線撮影はとても一般的な検診ですが、乳房は立体的で脂肪層が厚いため専用のX線撮影機が必要になります。
マンモグラフィーは立体的な乳房をできるだけ平たく撮影するために乳房を縦・横、二方向に挟むことができる圧迫板の上に乳房を固定するのが特徴です。
実際の撮影は圧迫板上の乳房を挟んで縦方向に圧迫して1回、横方向に圧迫して1回、片方の乳房につき合計2回撮影します。
マンモグラフィーで何がわかるのか
マンモグラフィーは手では知覚できない乳がんの初期症状である石灰化、小さなしこりを発見することができます。そのため、乳がんの早期発見のために推奨されています。
マンモグラフィーの放射線量
しばしばマンモグラフィーを受ける際の放射線被ばくが怖いという不安を耳にします。
放射線被ばくの確率は検査を受ける以上ゼロになることはありませんが、私たちは日常的に宇宙線、自然に存在する放射性物質から放射線を受けています。その放射線量は年間で2.4MSVといわれています。
一方、マンモグラフィーで受ける放射線量は約0.05~0.15MSVで、年間の自然被ばく量の1/16以下です。この自然被ばく量は土地によっても異なりますので、もっと放射線量が高い場所に住んでいる方もいることを考えると、決して高い数字とは言えないことがわかると思います。
放射線の性質上、リスクが0にであるという数字が出せないために不安をあおるような情報が出ることもありますが、きちんとした情報を知ればいたずらに不安に思うことはありません。
マンモグラフィーの欠点1
最もよく聞く欠点は、痛みがあることです。痛みの感じ方は個人によって違いますが、一般的に若くて乳房に張りがある方、生理前に乳房がはる方が生理前に検診を受けたときに痛みを感じやすいようです。
痛みのために十分に乳房を圧迫できない場合、画像がぼやけてしまったり、乳腺が密な方は画像診断時に白く映っている石灰化が発見しにくくなったりすることがあります。
マンモグラフィーの欠点2
次に解像度の問題です。乳房には厚みがあるため、可能な限り押しつぶして撮影しますが、立体画像を撮影するために乳腺がかぶって見えることがあります。現在も改良がおこなわれていますが、乳房に張りのある方には正確性の点でまだ課題があります。
マンモグラフィーでの乳がん検診を推奨される人は?
乳がんは家族性のがんの一種です。そのため、母親、祖母など血縁関係にある女性が乳がんを患っていたら、若いうちから検診を受けることが推奨されます。
もちろん、自分で触った時に胸にしこりを感じた場合も、医師による触診のフォローとしてマンモグラフィーで確認することが勧められます。
その他、現在は40代の女性にマンモグラフィーによる定期健診が推奨されていますが、現在のマンモグラフィーの解像度の問題から、一般的に乳房の弾力が落ちている50代以降の女性の方がマンモグラフィーによる検診が有効であるという議論もあります。
アメリカでのマンモグラフィー検診の位置づけ
日本でマンモグラフィーによる乳がん検診を語る際に比較として出されるアメリカでは40代から年に一度の検診が推奨されています。
しかし、実際に自分で触診してしこりがあると感じた場合は先ずは医師による触診がされます。マンモグラフィーは触診のバックアップとして使用されています。
また、検診用のマンモグラフィーは解像度が低いもので、検診で異常が見られた際に更に性能の良いマンモグラフィーで精密検査をするようになっています。
このマンモグラフィーで使用するX線の線量については、可能な限り狭い範囲で、少ない線量で撮影することが前提であるため、ほとんど議論になっていません。
まとめ
乳がんを早期発見するためのツール、マンモグラフィー
マンモグラフィーって何?
マンモグラフィーで何がわかるのか
マンモグラフィーの放射線量
マンモグラフィーの欠点1
マンモグラフィーの欠点2
マンモグラフィーでの乳がん検診を推奨される人は?
アメリカでのマンモグラフィー検診の位置づけ