とても小さな臓器、甲状腺。ここで分泌される甲状腺ホルモンが不十分だったら、私たちの身体ではどういった症状が起こるのでしょうか?実は知らずに放っておくと致命的といわれているのが 甲状腺機能低下症 です。どういった 症状 が出るのか、しっかり把握しておきましょう。
放っておくと致命的 甲状腺機能低下症の症状とは
甲状腺機能低下症とは
甲状腺の働きが低下すると、甲状腺ホルモン分泌が不十分になります。甲状腺ホルモンは身体の代謝を促していますので、不十分になる結果として活動的身体機能がゆっくりと低下してゆきます。男性よりも女性で圧倒的に多い疾患で、特に高齢女性の約10%で発症しています。
甲状腺ホルモンの大切な役割
甲状腺は喉仏のすぐ下にあり、蝶が羽を広げた形をしている小さな臓器です。甲状腺は、食物に含まれるヨード(ヨウ素)を材料にして、甲状腺ホルモンを分泌し、それを血液中へ送っています。
甲状腺ホルモンは、身体の成長を促進し、新陳代謝を盛んにする役割を担っています。身体活動のための必要なエネルギーを作りだしているのも甲状腺の働きによります。
甲状腺ホルモン分泌が多すぎても少なすぎても身体機能が悪くなるため、分泌が一定に保たれていることが大切です。
甲状腺ホルモンを一定に保つとは?
甲状腺ホルモンの調整には、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンが関わっており、通常、血液中の甲状腺ホルモンを一定に保つために常に働きかけています。
甲状腺ホルモン分泌が多ければそれを少なくするように脳から命令を出し、逆にホルモン分泌が少なければ多く分泌するように命令を出します。このように甲状腺ホルモンへ命令を出す脳の働きによって、私たちの身体は身体活動そして代謝も正常に保たれています。
症状
甲状腺機能低下症になると、身体機能の速度が低下します。症状自体は漠然、曖昧としていて、徐々に悪化あるいは進行するといった具合です。
そのため、甲状腺機能低下症だと気づかない人も多くおられます。特に高齢になると、加齢のせいで身体機能が低下しているのだと勘違いする方が多いのも事実です。
治療しないで放っておくと、貧血、低体温、あるいは心不全、意識喪失、昏睡、呼吸低下、脳への血流の低下、といった致命的な状態になりますので大変危険です。甲状腺機能低下症で現れる具体的な症状をいくつか挙げてみます。
疲れやすさやだるさが続く。汗が出ない。冷え性になる。脈拍数が少ない。顔や手足の浮腫(むくみ)。甲状腺が腫れる。体重が増加する。気力が低下する。皮膚乾燥(うろこ状に厚くなる)。声がかすれるあるいは低音になる。昼夜問わずいつも眠い。物忘れしやすい。動作が鈍いあるいは遅い。髪の毛がよく抜ける。両側眉の外側が抜けやすくなる。常に便秘。筋力が低下が著しい。
こうしてみると、高齢者が勘違いしてもおかしくないような、加齢による症状だと言われてしまうことが頷づけます。甲状腺機能低下症の特に顕著な症状は、甲状腺の腫れ、声のかすれ、顔や手足の浮腫(むくみ)です。これを見逃さないようにしなければなりません。
診断
甲状腺ホルモンが正常に分泌されているのかどうか、TSH血液検査によって調べることができます。通常の健康診断あるいは他の疾患で医療機関を受診している方のコレステロール値や心電図に異常があった場合も、同時に甲状腺ホルモン分泌の異常が調べられる傾向があります。
また、高齢者に多い疾患でもあるため、他の疾患なのか加齢による症状なのか調べるためにも、早くて55歳以上(平均で65歳以上)になると、定期的(年に一度)にTSH血液検査で数値を調べることが勧められています。
血液中に、サイロキシンそしてトリヨードサイロニンという2つの物質が少ない場合、甲状腺機能低下症と疑われます。その際には、甲状腺組織を採取する生検、そしてシンチグラフィー(静脈へ放射性同位元素を注射し放出される放射線を撮影)、X線やCTなども行われ、診断が確定されます。
甲状腺ホルモン分泌の異常が判明した場合は、ただちに治療が開始されます。甲状腺機能低下症は慢性的といわれているため、長期的な治療になることを覚えておきましょう。
症状は曖昧で漠然としていますので、致命的な状態になることを事前に防ぐためにも、高齢になったら年に一度は受診したい血液検査といえます。
まとめ
放っておくと致命的 甲状腺機能低下症の症状とは
甲状腺ホルモンの大切な役割
甲状腺ホルモンを一定に保つとは?
症状
診断