甲状腺機能低下症になった際の食事療法については、様々な情報がとびかっているため、いったいどれを信じてよいのか困惑してしまいます。民間療法などをどこまで信じてよいのかも疑問です。ここでは、医療機関による 甲状腺機能低下症 と 食事 の関係の説明をご紹介いたします。
甲状腺機能低下症と食事の関係
食事療法はサブ的な意味で捉えてください
甲状腺機能低下症は、気づかず放っておくことで致命的な状態になる場合もありますので、薬物による治療が必ず必要になります。
疾患は慢性的で、徐々に、曖昧に、そして漠然と進行悪化してゆきますので、気づかない方も多くいます。
甲状腺ホルモン分泌が低下しているために、新陳代謝が低下し、肝臓の機能が低下するだけではなく、動脈硬化、心不全、呼吸低下、昏睡、脳への血流低下といった致命的な状態になることもあるため、治療しないで放っておくことが一番危険なことです。
甲状腺機能低下症の治療の基本は、低下している甲状腺ホルモンを薬で補うこと、これに限ります。薬の服用なしでは治療とはいえません。
薬を服用し甲状腺ホルモン値を正常に保っていれば、日常の運動や旅行を積極的に行っても構いませんし、食事にも特別な制限はありません。したがって、食事療法はサブ的な意味で捉えておいてください。
食事を変えたから治るというわけではありませんし、甲状腺機能低下症の発症原因が食事に起因しているわけでもないことを覚えておいてください。
ヨード(ヨウ素)
甲状腺機能低下だけではなく甲状腺の異常がある方は、ヨードが豊富に含まれている食品をあまり摂取してはいけません、といった内容の食事療法がインターネットなどの媒介で検索すると出てきます。いったい、どうなのでしょうか?大変気になります。
それは、極稀に海藻類に含まれるヨードが甲状腺機能に影響を与えるといわれているためです。海藻類でも昆布に含まれるヨードの量は多く、その他の海藻類はそれほど多くないようです。
甲状腺機能低下症の発症原因は主に4つですが、そのうちの1つにヨードの過剰摂取が原因となって発症する方がおられます。通常の方であれば、ヨードを過剰あるいは多量に摂取しても甲状腺機能にはまったく影響はなく機能低下症になることはありません。
甲状腺になんらかの異常を持っている方たちにのみ、過剰のヨード摂取が機能低下症の発症のきっかけとなっています。甲状腺に異常がある方とは、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)患者、放射線ヨード療法や甲状腺手術を受けた方です。
したがって、これに該当する方たちにおいては、日常において昆布の過剰摂取に気をつけなければなりません。過剰に摂取している場合に甲状腺が腫れることがありますが、摂取を中断するともとにもどります。
ヨードは身体の成長や新陳代謝に欠かせない栄養素ですので、適度を心がけてください。
ヨードの適量とは
健康な人であればまったく問題ないヨードですが、いったいどれくらいが適量なのでしょうか?通常の成人が一日に必要とするヨード量の上限が3,000マイクログラム、つまり3mgとされています。
日本人は海藻類を多く摂取する民族といわれており、現在でも500マイクログラムから最大上限3,000マイクログラム(3mg)を毎日摂取していると推測されています。
海藻類はミネラルを豊富に含みますし、健康には欠かせない食品でもあり、だしや調味料にも沢山使用されています。味噌汁、おにぎり、海苔巻き、昆布だし、ひじきなど、日ごろから知らないうちに食していますので、よほど気をつけている人でなればヨードの摂取量にはまったく気づかないのも納得できます。
わかめや海苔にはヨード含有量はそれほど多くありませんが、昆布は群を抜いており、わずか1gに1,000マイクログラム(1mg)以上のヨードが含有されています。前述の該当者たちは、やはり昆布を必要以上にとり過ぎないようにすることがよいでしょう。
昆布以外でも、佃煮、昆布をつかった漬物、昆布のおつまみ、昆布エキス調味料、昆布茶、ドレッシング、昆布だし、昆布エキス入り飲料水、冷凍食品やカップ麺なども注意したいので、気になる方は表示を見てみることも良いでしょう。
禁煙
食事ではありませんが、禁煙も大変重要です。喫煙は百害あって一利なしです。甲状腺機能低下症の方すべてにおいて喫煙は危険因子とされていますので、是非禁煙を実施してください。
まとめ
甲状腺機能低下症と食事の関係
食事療法はサブ的な意味で捉えてください
ヨード(ヨウ素)
ヨードの適量とは
禁煙