甲状腺ホルモンは身体の新陳代謝を活発化させエネルギーを作る、成長には欠かせないホルモンです。このホルモンの分泌量が極端に少なくなる 甲状腺機能低下症 になると、身体が思うように動かなくなったり、女性の場合は不妊の原因にもなったりします。
運良く 妊娠 できたとしても、そのままの状態でいると胎児の成長に大きな影響を与えます。しかし甲状腺の病気は、定期的に専門機関で経過を確認し、医師の指示に従っていれば大事に至ることはありません。妊娠し無事出産することも可能ですし、健康な身体の人と同じように生活することもできます。
甲状腺機能低下症でも妊娠できる?妊娠前から知っておきたい甲状腺の病気
甲状腺機能低下症と不妊の関係
甲状腺機能低下症になると、他の様々なホルモンの分泌にも影響を与えるため、生理不順や排卵、着床障害がおこるリスクが高くなります。そのため、不妊や流産などの原因となることがあります。
妊娠を望んでいるのに妊娠できない不妊症患者の内、4~5%は甲状腺機能低下症であることが分かっています。
非妊娠時の甲状腺機能低下症の症状は、疲れやすい、冷えやすい、太りやすいといったもので、忙しい現代人には、病気でなくても慢性的に見られる症状であるため、あまり意識しないことが多いようです。
しかし不妊治療の検査を受ける中で「初めて甲状腺に異常があることが分かった」という人も少なくありません。
甲状腺機能低下症でも妊娠できるのでしょうか?
甲状腺機能低下症だと診断されたら、ホルモン剤によって不足している甲状腺ホルモンを補う治療を行います。薬によってホルモンの値が正常値になれば、月経や排卵も正常に行われるようになり、妊娠することが可能です。しかし、妊娠後も甲状腺機能の経過観察は必須です。
胎児は母体の甲状腺ホルモンを使って成長していきますので、胎児の成長にあわせて甲状腺ホルモンを補う量も調節していかなければならないからです。妊娠中は、非妊娠時よりホルモン剤を30~50%ほど増量させていきます。
妊娠中に薬を服用することに抵抗がある人もいますが、甲状腺のホルモン剤は胎児への影響はほどんどなく、むしろ薬を止めてしまうことで成長に必要なホルモンが不足し、胎児の成長を妨げるリスクの方が大きくなっています。
出産後はホルモン剤の量を元の量まで戻します。このホルモン剤は授乳にも影響はありませんので、安心して飲み続けることができます。
甲状腺機能低下症の遺伝
甲状腺の病気になった場合、病院では必ず「家族に同じ病気になった人がいないか?」という質問がされます。これは甲状腺の病気は遺伝する可能性があると言われているためです。甲状腺の異常は体質的な要因が大きく、アレルギーや敏感肌などのように、似た体質の子どもが生まれる可能性があるということです。
甲状腺機能低下症でも妊娠し、無事出産できてもたとしても病気が遺伝するのではないかと心配になるかもしれませんが、体質が遺伝したからといって必ず発症するわけではありません。また、遺伝しても男の子の場合は、ほとんど発症することはなく、症状が現れるのは女の子に多いという特徴があります。
日本では全ての新生児に対して甲状腺機能低下症のスクリーニング検査が行われていますので、そこで問題があれば即、治療することができます。ごくまれに、子どもにも甲状腺機能低下症が発症することがあります。
家族に甲状腺異常の病歴があり、小学校入学時に身長が一メートル未満だった場合は甲状腺の専門医に相談してみましょう。子どもの発症は早期発見、早期治療が適切に行われれば、発育の遅れを取り戻すことができます。
しかし、確率的に見れば病気が発症するのはほとんどの場合、大人になってからだと言われています。
まとめ
甲状腺機能低下症でも妊娠できる?妊娠前から知っておきたい甲状腺の病気
甲状腺機能低下症と不妊の関係
甲状腺機能低下症でも妊娠できるのでしょうか?
甲状腺機能低下症の遺伝