膠原病とは あるひとつの病気の名前ではなく、「感染症」などと同様にさまざまな病気が集まったグループを表した言葉です。皮膚や内臓の結合組織や血管に炎症や変性を起こし、さまざまな臓器に炎症を起こす病気の総称である膠原病についてご紹介いたします。
それぞれの病気をよく知って!女性に多い膠原病とは?
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膠原病とは
膠原病は皮膚や内臓の組織の中にある膠原線維などからできている結合組織や血管に炎症や変性が起きて、さまざまな臓器に炎症が起こる病気の総称です。全身の結合組織や血管にフィブリノイド変性という病理学的な変化があることが共通しています。
1942年、病理学者Kiempererが全身性エリテマトーデスと全身性強皮症をまとめ、1950年には皮膚筋炎・結節性多発動脈炎・関節リウマチ・リウマチ熱を加えた6つの疾患を膠原病としました。
その後、リウマチ熱は除外されましたが、混合性結合組織病やシェーグレン症候群などの多くの病気が追加されて現在に至っています。
これらの病気に共通する症状として、発熱・関節炎・全身倦怠感などの全身症状とそれぞれの皮膚症状・筋症状・内臓症状があります。女性に多くみられる病気で、比較的若い女性の原因不明の熱として発見されることが多いものです。
原因不明の発熱・湿疹・関節痛などがみられた場合には膠原病の徴候の有無を調べる必要があります。共通してみられる徴候は、冷水につけたり、冬の寒い朝に手足の先が白く変化してしびれることがあるレイノー現象があります。
また、目や口の中の乾燥や握力低下、爪の変形も重要な徴候である場合があります。ほとんどの膠原病でそれぞれに特徴的な湿疹がみられることがありますので専門医の診察が必要となってきます。
代表的な膠原病
全身性エリテマトーデス
発症の男女比が1:9と圧倒的に女性に多い病気です。20~30代の比較的若い女性に好発し、現在日本に数万人の患者が存在します。37~38℃の発熱・関節の痛みや腫れ・顔面や手の湿疹などが主な症状です。
抗核抗体などの血液検査で診断が確定されると難病特定疾患者の指定を受けることができます。発症のきっかけは直射日光の紫外線を浴びることにある場合が多いと言われています。
関節リウマチ
全身の関節、特に手や膝などに痛みや腫れが左右非対称に見られる病気です。発症の男女比は1:3~4と女性に多く、30~50代の女性に好発します。朝のこわばりに代表されるように午前中に症状が強いことがよく知られています。
関節にとどまらず、肺・腎臓・血管に症状が合併した場合には、悪性関節リウマチと呼ばれ、難病特定疾患の指定を受けています。
多発性筋炎・皮膚筋炎
筋肉に炎症を起こす膠原病の中で、湿疹を伴うものを皮膚筋炎、伴わないものを多発性筋炎と呼びます。
発症の男女比は1:2程度でやや女性に多いとされており、40歳前後に好発します。急に力が入らなくなり、激しい筋肉痛を訴える場合もあります。この病気も難病特定疾患の指定を受けています。
強皮症
手の指先から皮膚がだんだんに硬くなっていく病気です。強皮症では上述のレイノー現象がほぼ100%の患者にみられると言います。進行すると口を開けるのが困難になったり、物を飲み込めなくなったりします。
肺の合併症である肺線維症になると呼吸困難に陥ることもあります。この病気も難病特定疾患の指定を受けています。
シェーグレン症候群
唾液が出にくい・目が乾くなどの乾燥症状が特徴のこの病気の患者の90%は女性だと言われています。他の膠原病との合併が多く、特に関節リウマチと40~50%の確率で合併するとされています。平成27年から難病特定疾患の指定を受けています。
ベーチェット病
膠原病の中では遺伝的要素が強い病気だと言われており、発症の男女比は1:1です。口の中や陰部に痛みを伴う潰瘍ができ、手足にも痛みを伴う湿疹ができます。
眼には炎症性のブドウ膜炎という病気が起こることがあります。神経や血管、腸などに合併症を起こす場合もあります。この病気も難病特定疾患に指定されています。
膠原病と診断されたら
膠原病は多くの臓器に発症する慢性の炎症疾患ではありますが、昨今では治療法が進歩して適切な治療を受けることで症状の改善が期待できる病気です。
長期にわたる闘病が必要になってくることもあるかもしれませんが、それぞれの病気を正しく理解して、病気と共存していく心構えが大切です。
まとめ
それぞれの病気をよく知って!女性に多い膠原病とは?
膠原病とは
代表的な膠原病
膠原病と診断されたら