血液検査 は体の状態を知るために大きな役割を果たしますが、検査項目の詳細を知っている人は少ないでしょう。中でも crp と呼ばれる項目は体に何らかの炎症や細胞破壊が起きた場合に値の変化が生じるもので、検査項目の中でも非常に一般的なものです。
今回はcrpについて説明します。
血液検査のcrp値からはどのようなことがわかるの?
血液検査におけるcrpとはなに?
血液検査ではさまざまな検査項目があり、その中でcrpとはどのようなものなのでしょうか。英語でC-reactive proteinと表現されるcrpはC反応性たんぱくのことを言います。
細胞に炎症が生じたり、細胞の破壊が起こることで血清中にタンパク質が増加します。その増加するたんぱく質をcrp、いわゆるC反応性たんぱくと言います。日本では肺炎や感染症が疑われる場合をはじめとした一般的な血液検査では必ず検査される項目にあたります。
しかしcrp値は炎症状態であっても細菌感染時には高値を示すものの、ウイルス感染時には値の変化はほとんど見られないという点と炎症などが起きている場所の特定まではできないという特性があります。
そのためcrp(C反応性たんぱく)検査だけを単独におこなうことはなく、同じく血液検査項目の中で炎症に対して値の変化が生じ、特にcrpでは変化があらわれにくいウイルス感染時に値の変動がある白血球(WBC)と共に検査をおこなうことが多いです。
crpとWBCを同時に検査する理由はほかにもあり、crpとWBCの特性が関係します。細菌感染していても発症から12時間から48時間程度後でないとcrp値の変化はみられません。
しかしWBCは発症から数時間後ですぐに値への変化が生じます。このことからWBCのみが高い場合は感染し始めてからあまり時間が経っていない初期段階ということが診断でき、crpのみが高い値の場合は発症からかなり時間が経っている後期と考えられます。
そしてcrpとWBCが共に高い値だった場合は病状のピークをあらわしています。このようにcrpとWBCを同時に検査することは、それぞれの特性から病気の発症時期が推定だけでなく、細菌感染以外に何らかのウイルス感染疾患があった場合、同時にみつけ出すことができるということなのです。
そのほかにも炎症の度合いの高さも診断できることになるため病気治療中の病変の程度など経過観察では重要な役割を果たします。
crpの基準値が病院ごとに違う?
crp値だけでなく、血液検査の基準値は検査をおこなった病院ごとに異なる場合があります。これはそれぞれの病院で設定されている基準値が異なることで起こることです。
それぞれ病院ごとに検査機器などの違いもあるため、病院が設定している基準値であれば、検査場所ごとに多少の数値の相違があっても基本的には問題ないと言えるでしょう。
また血液検査の結果は、男女別、年齢別でも値の高低の相違が出やすい項目があるため、心配の場合は検査した病院で医師に相談してみることをお勧めします。
その際は別の検査場所で受けた血液検査結果を含めた過去のデータ何点かを持参すると、医師にとって今までの経過を確認することができて理想的だと言えるでしょう。crp値も0.1mg/dLから0.3mg/dLが多くの検査施設で設定されている基準値です。
何か病気の疑いがある場合、crp値はどうなるの?
先に述べたように、炎症や細胞破壊などの問題が発生した場合、血液検査でのcrpは高い数値を示し、主に疑われる疾患としては心筋梗塞、癌、リウマチ熱、肺炎、白血病、肝炎、悪性腫瘍、真菌症、結核、百日咳、肝硬変、敗血症などがあります。
虫歯やちょっとした外傷、ストレスによっても上昇します。病気ではなく男女比でも女性の方がcrpは多少高値を示しやすく、特に妊娠時には通常よりも高めな値が出ます。また心筋梗塞の原因ともいえる動脈の内側の脂質沈着の段階でもcrpが高値をあらわします。
現段階で日本での発表までは至っていないようですが、海外の医療センターの研究において、同人種間の男女比だけでなく異人種間の男女比でもcrp値の違いがあることや、肥満度をあらわすBMIが高い人はcrpが高値になることが発表されています。
まとめ
血液検査のcrp値からはどのようなことがわかるの?
血液検査におけるcrpとはなに?
crpの基準値が病院ごとに違う?
何か病気の疑いがある場合、crp値はどうなるの?