風邪をひいてしまったら内科、歯が痛めば歯科と迷うことなく受診しますが、 自律神経失調症 を疑うような症状に悩まされている場合には 何科 を受診すればいいのでしょうか。症状によって受診科を変えた方がいいのでしょうか。
何科を選ぶあなたの自律神経失調症
自律神経失調症とは
ご存知のように自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあります。昼間は交感神経が優位に働いて脳や体が活動的になり、夜には副交感神経が働いて睡眠をとり脳や体を休ませるというように二つの神経が交互に働いて成り立っているものなのです。
ところが、何らかの原因で交感神経と副交感神経のバランスが崩れることがあり、そのために引き起こされるさまざまな心身の不調を自律神経失調症と言います。
現代においては交感神経が優位になり過ぎるというバランスの崩し方をするケースが多いため、副交感神経が働かなくなって不眠に陥って心身の疲れがとれなくなるということが多いようです。
また、自律神経失調症は比較的女性に多いとされていますが、女性ホルモンをコントロールする脳の視床下部において自律神経もコントロールされていることが原因であると言われています。
実際、思春期や更年期など女性の内分泌系に変化が多い時期に自律神経失調症を発症するということは珍しいことではありません。
自律神経のバランスが乱れると全身のみならず心まで不調をきたすことがあります。近年増加傾向にある自律神経失調症を鬱病に移行するものとして注意喚起するむきもあります。
まず、それぞれの症状に向き合う
「心身に何らかの症状が出ているにもかかわらず、病院で検査をしてみると異常なしと言われてしまうのが自律神経失調症だ」というのはよく言われることです。つらい症状を訴えても気のせいだと言われてしまったという経験談もよく耳にします。
しかし、まず症状の出ている部位に関して受診することは非常に大切です。
体に関する症状だけでも、頭痛、疲れ目、耳鳴り、動悸、胃炎、頻尿など内科、眼科、耳鼻科、循環器科、消化器科、泌尿器科などに受診対応するような多種多様な症状があるのが自律神経失調症の特色ですが、それぞれについて器質的な問題の有無をはっきりさせる必要があります。
自律神経失調症だという思い込みの影に思わぬ病気が潜んでいたということを避けなければならないからです。また、それぞれの受診科で対症療法的な治療が受けられたり、自律神経失調症が疑われるような場合に専門医を紹介してもらえるようなこともあるでしょう。
同様にかかりつけ医のある方はまず、かかりつけ医に相談するというのもよいでしょう。器質的な問題がないと言うことであれば心療内科や神経科などの専門医を紹介してもらえることでしょう。
心療内科と精神科
心療内科は主に心身症を取り扱っている診療科です。心身症とはご存知のように心に原因があって体に症状が出ている状態で、神経性胃炎・大腸炎、心臓神経症など精神的なストレス由来の症状がある方には心療内科をお勧めします。
自律神経失調症では心に症状が出ると方も多いものです。抑うつ、不眠、幻覚、不安など心の症状が強い方は精神科を受診するのもいいでしょう。
精神科という診療科は抵抗のある方も多いこともあって開業医では心療内科を標榜していることもありますが、カウンセリングなども取り入れて心の問題に取り組んでいる医療機関も増えてきています。
婦人科のかかりつけ医をもつ利点
自律神経と女性ホルモンが脳の視床下部という同じ場所でコントロールされていることは上述しましたが、この二つは相互に影響しあうことが明らかになってきています。どちらかがバランスを崩すことによって他方を刺激してバランスを崩させてしまうというようなことが起こるようです。
女性の一生は女性ホルモンの変化との長いおつきあいです。内科医のかかりつけ医と同じように婦人科医のかかりつけ医をもつことは大変有用であると言えます。自律神経失調症を疑うような場合にも婦人科的なアプローチで適切な判断を下してもらえることと思います。
まとめ
何科を選ぶあなたの自律神経失調症
自律神経失調症とは
まず、それぞれの症状に向き合う
心療内科と精神科
婦人科のかかりつけ医をもつ利点