「腹痛なしの自分にぴったりの下剤探しを!(前編)」では、下剤を使用する危険性についてご紹介いたしました。後編では、便秘の種類により異なる下剤をご紹介いたします。
下剤 の種類によっては、 腹痛 や早産を引き起こすものもありますので注意しましょう。
腹痛なしの自分にぴったりの下剤探しを!(後編)
- 目次 -
下剤の種類
医者から処方される主な下剤は(1)刺激性下剤(2)機械的下剤があります。
(1)刺激性下剤は、腸自体に刺激を与えて蠕動運動(ぜんどうどう:消化管などの臓器の収縮活動で便を肛門まで移動させる働きのこと)を活発にすることで便を出させるタイプで即効性がある下剤です。
(1)刺激性下剤の中にも大腸刺激性と小腸刺激性があります。
大腸刺激性は大腸に刺激を与えることで蠕動運動を起こさせて排便を促す作用がありますが強い腹痛をともないます。市販薬では大腸刺激性下剤がもっとも多く販売されています。
小腸刺激性は小腸に刺激を与えて排便を促す作用があります。病院で処方されるものにはプレゼニド錠、アローゼン、ラキソベロン液、ラキソベロン錠などの薬があり、市販薬ではスルーラックSやコーラックなどです。
それぞれ効き目が作用する時間が早いもので3時間前後、全般的に7時間から12時間程度となっています。
(2)機械的下剤は、たくさんの水分と共に服用することによって便に水分を与えて柔らかく排便しやすい状態する一方で蠕動運動を活発にさせます。
機械的下剤の中にも浸透性下剤、浸潤性下剤、膨張性下剤があります。
浸透性下剤(塩類下剤)とは、大腸の浸透圧の変化で水分量を増やし便を柔らかくする作用がありますが、習慣性がないため長期服用で使用されます。
浸潤性下剤とは、主に界面活性剤が使われていて水分を浸透しやすくする作用があります。
膨張性下剤とは、水で服用した際体内で膨張させることで便を押し出す作用があります。病院で処方される機械的下剤にはマグミット錠、マグラックス、マグコロールP、モニラックシロップ、ビーマスS錠、バルコーゼなどの薬があり、市販薬ではイージーファイバーやウィズワンなどがあります。
効き目が作用する時間は30分から長いものでは1日中、3日間という長時間にわたっているものがほとんどです。
下剤服用の注意点は?
容易に入手できる薬であっても何らかの副作用はあります。服用には十分注意しましょう。
(1)刺激性下剤は即効性がありますが、副作用として強い腹痛をともなうものが多くあります。中でもアントラキノン系(センナやアロエ、大黄が成分)の下剤は長期間使用することで大腸が黒ずむ大腸メラノーシスの症状が出ます。黒くなった大腸はより動きを鈍くして便秘を悪化させてしまいます。
大腸メラノーシスの症状は下剤の服用を長く止めることで黒ずみが治まります。またアントラキノン系の下剤に含まれるセンナ(センノシド成分)は子宮に刺激を与えてしまい収縮運動が盛んに起きてしまう可能性があります。
子宮の収縮運動は早産や流産を招いてしまうため、妊娠中のアントラキノン系の下剤の服用は非常に危険ですので絶対に避けましょう。
一方で(2)機械的下剤の中でも浸透性下剤(塩類下剤)は比較的副作用が少ないとされているため妊娠中にも使用されることがあります。
しかしそういった中でも吐き気や食欲不振などの副作用も報告されているため、妊娠中の薬剤服用は必ず医師に相談しましょう。
下剤は薬局でも容易に購入できますが、特に多く販売されている(1)刺激性下剤は強い効き目がある反面、常用することで薬剤が効きづらくなります。そして今以上に大腸の蠕動運動が鈍くなり薬なしでは排便が困難になってしまう可能性も考えられます。
便秘で悩み始めたら市販薬に頼りきらず、できる限り病院を受診した上で自身の症状にあった下剤を処方してもらうことをお勧めします。
まとめ
腹痛なしの自分にぴったりの下剤探しを!(後編)
下剤の種類
下剤服用の注意点は?