HIVに感染すると、免疫力が低下することによるさまざまな症状をあらわしながら、最終的にエイズを発症します。それらの エイズの症状 は、特別なものではなく風邪などのように誰もが経験したことのあるような症状をみせることが多く、そのために発見が遅れてしまうこともあります。
しかし、早期発見が重要なエイズだからこそ、症状からHIV感染を疑うことが重要なのです。
発症までにみられるHIV感染を疑うエイズの症状(前編)
初期におこる風邪様症状
HIVが人の体内に侵入すると、血液で増殖し、さらにリンパに侵入することにより1~4週間ほどかけて一気に増殖します。その頃にみられるようになるのが、発熱やリンパの腫れ、頭痛などの風邪様症状です。
HIVに関わらず、自分の体以外のものが体内に侵入すると、私たちの体の中では免疫を担当する細胞が、異物かどうかを判断して異物であれば除去するための攻撃をはじめます。
この異物と免疫細胞が戦うときにあらわれるのが発熱や痛みといった症状なのです。そして、この戦いによってHIVは一旦その数が減ってしまいます。そのため風邪が治るのと同じように、1週間~2週間ほどすると、あらわれていた症状は治ってしまいます。
このように、症状や経過そのものが風邪に似ていることから、感染した可能性を疑っていないと気づくことができない場合もあるのです。
また、初期のHIVが増殖している段階ではたとえHIVの検査を受けても陽性にならないウインドウ期というものがあります。HIVの検査は、血液中のHIV抗体が検出された場合に陽性と判断されます。
しかし、陽性となるには最低でも4週間ほどかかるため、HIVが体内に侵入し免疫細胞と戦っている段階ではまだHIV抗体がつくられておらず、体の不調を訴えて受診し検査を受けていたとしても発見されないこともあるのです。
少しずつ進行するHIV感染の経過
風邪などの際は、侵入した病原菌と免疫細胞が戦った結果、体内から病原菌は消滅し症状が治まります。しかし、HIVの場合は、一旦量が減少して初期症状が治まると、完全に消滅することなく一定の量のまま体内に残り続けます。
この期間に入ると、HIVに感染していると判断できる症状がなくなり、5年から長い人では10年ほど気づかないまま過ぎていきます。しかし、その間にもHIVは体の中で活動しているのです。
HIVは、私たちの体を守る免疫細胞であるCD4陽性リンパ球に感染し増殖します。そして、また新たなCD4リンパ球に感染するという流れを繰り返しながら、CD4リンパ球を破壊し、その数を減少されることにより正常な免疫機能を奪っていきます。
その結果、免疫機能が正常であれば、私たちが症状として感じることもないまま体の中で死滅させられる弱い病原菌ですら、死滅させることができず、簡単に日和見感染をおこすようになってしまいます。これがエイズの発症なのです。
まとめ
発症までにみられるHIV感染を疑うエイズの症状(前編)
初期におこる風邪様症状
少しずつ進行するHIV感染の経過