日本でエイズが認知されるようになった30年ほど前は「 エイズになったら 必ず死ぬ」と言われるほど恐ろしい疾患でした。怖い疾患であることは変わりないものの、治療薬などの進歩により、HIV感染してもエイズ発症は回避できる可能性も出てきたという現状を学んでみましょう。
エイズになったら必ず死ぬとは昔の話?自分の命は自分で守る(前編)
エイズとは?
エイズは正式名Acquired Immunodeficiency Syndrome、通称AIDS(エイズ)と呼ばれる後天性免疫不全症候群です。まずエイズを知るためにはHIVをしっかりと知る必要があります。HIVとは正式名Human Immunodeficiency Virus=ヒト免疫不全ウイルスです。
人間は誰もが免疫力という細菌やウイルスなどに侵されないように常に戦って排除して体を守ってくれる機能をもっています。その免疫力によって健康を保っているのです。
しかしHIV1型、HIV2型をもつHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、その免疫の働きを助ける役割をもつマクロファージと呼ばれるCD4陽性細胞やTリンパ球などに感染する非常に恐ろしいウイルスです。
HIV感染すると徐々に増殖することで免疫細胞の数がどんどん減少して免疫力の低下が著しくなって、さまざまな疾患から体を守ることができなり多くの疾患を発症することとなってしまうのです。この状態下で発症する23の代表的な疾患に発展した場合をエイズと言います。
よってエイズという疾患はHIV感染をすることによって発症するものなのです。エイズ発症と認められる23の疾患にはサルモネラ菌血症、ヒストプラズマ症、化膿性細菌感染症、カンジダ症、リンパ性間質性肺炎、非結核性抗酸菌症、原発性脳リンパ腫などがあります。
HIV感染して数週間から2ヶ月以内に、約7割以上の感染者に咽頭炎や倦怠感、筋肉痛、発熱、下痢などインフルエンザに似た症状が出ると言われています。
HIV感染をしても症状として出るものはその程度で、人によって年数には違いがあるものの平均的に感染から5年から10年近くは特別な症状がない状態が続くというものです。
そしてエイズが日本国中に知られるようになった30年ほど前はエイズを発症した場合は致死率9割と言われていました。しかし感染当初の段階ではHIV感染が疑わしいと考えづらく検査をおこなうこともないままに放置されてしまうことがほとんどのようです。
検査をおこなってもHIV抗体は感染から約4週間程度でできるため、検査時期によっては陰性という結果が出てしまう可能性も高くなるのです。そういった背景から、HIV感染に気付かないままエイズ発症を知ることとなっている人も毎年30%前後いるということです。
また治療方法が進歩してきた近年では、HIV感染者の誰もがエイズを発症するというわけではないということをまず理解しなければなりません。HIV感染とわかった時点から治療を継続して受けることで、現在ではほぼ確実にエイズ発症を予防できると言われています。
「もし自分がエイズになったら」と恐怖からHIV感染の疑いがあっても抗体検査を受診しないでいる人も多いと思いますが、実状をきちんと理解して早期発見、早期治療開始が重要だということをしっかりと認識するべきなのです。
まとめ
エイズになったら必ず死ぬとは昔の話?自分の命は自分で守る(前編)
エイズとは?