「全身性エリテマトーデスに必要な妊娠管理(前編)」では、全身性エリテマトーデスと妊娠の問題についてご紹介致しました。後編では、 全身性エリテマトーデス の患者さんが安全な 妊娠 をするためにどうするべきなのか、また妊娠管理についてご紹介致します。
全身性エリテマトーデスに必要な妊娠管理(後編)
安全な妊娠、出産をするために
全身性エリテマトーデスだからと言って、妊娠、出産が出来ないわけではありません。妊娠中の経過が良く、胎児も順調に成長していれば問題なく出産することも十分可能です。そのためには出産前の身体の状態を整えておくことが重要です。
まずは、検査の結果でも病気が落ち着いており出産を妨げる症状が見られないことです。次に、重篤な臓器の病気を合併していないことです。
特に腎機能が悪い、高血圧、貧血といった症状は妊娠によってさらに悪化することが予測されるため、あらかじめ調べておく必要があります。
合併症によっては薬の治療が必要になりますが、その薬が胎児に悪影響を及ぼすものもあります。その場合は治療を辞めるか、妊娠を諦めるかの選択をしなければなりません。
このように、婦人科系の疾患がなければ通常通り妊娠できます。しかし、良い経過をたどって安全な妊娠生活、出産を迎えるためにも、身体の状態をしっかり把握して妊娠のタイミングを考えることが大切です。
妊娠中に悪化させないために
全身性エリテマトーデスの治療の基本は免疫を抑えるため、ステロイドの内服治療になります。妊娠によって、症状が悪化することが判明しているため、あらかじめステロイドの内服治療を行いながら妊娠管理を行う場合があります。
また、出産後も女性ホルモンの影響があるため、内服治療は妊娠から出産後2~3ヶ月頃まで続けることがあります。
妊娠中はどんな場合も薬を使う有益性が考えられます。明らかに胎児への影響がある薬剤はもちろん使用できません。
しかし、胎児への影響がわずかにあったとしても、母体の状態が安定していることの方が胎児にとって有益だと判断される場合は、薬を使って母体の状態を安定させることを優先させます。
母体が安定することは胎児が胎内で過ごすためには何よりも大事なことであり、そのメリットを考えると、薬の影響は無視してもいいほど小さいということです。
しかし、ステロイドという強い薬を使うことは胎児への影響が何よりも気になると思いますが、ステロイドは10mg/日であれば胎児への影響はないとされています。
薬の影響を気にしてストレスに感じるようでは胎児によくありません。妊娠管理は納得した治療を継続しながら、自分の身体と、胎児を守っていけるように医師としっかり話し合うことが大切です。
まとめ
全身性エリテマトーデスに必要な妊娠管理(後編)
安全な妊娠、出産をするために
妊娠中に悪化させないために