「女性しか発症しない、ターナー症候群(前編)」では、染色体異常についてご紹介しました。染色体異常の中でもターナー症候群は女性にだけあらわれる染色体異常ですが、後編では ターナー症候群 の治療方法についてご紹介致します。
女性しか発症しない、ターナー症候群(後編)
ターナー症候群の治療
主な症状である低身長と二次性徴はホルモン治療を行うことで補うことができます。低身長に対しては自宅でもできる成長ホルモンの皮下注射で、針が細いためほとんど痛みを感じることなく接種することができます。
二次性徴に対しては思春期を迎える12~14歳頃から内服で女性ホルモンの治療をします。薬を調節しながら性周期を整えます。
その他、中耳炎、骨粗しょう症、甲状腺機能低下症などの合併症を発症する可能性がありますが、これらも定期的な検査によって早期に発見し治療することが大切です。
なぜ女性だけが発症するのか
ターナー症候群の発症原因であるX染色体は男性も女性も共通して持っています。しかし、なぜ男性はターナー症候群を発症しないのでしょうか。それは、XとYそれぞれの染色体の機能に理由があります。
Y染色体は男性という性を決定する以外にそれほど重要な遺伝子を持っていませんが、X染色体は生命活動に重要な遺伝子を多く持っているのです。X染色体が2本あれば、1本が機能しない場合もう1本で補うことができます。
しかし、X染色体が1本しかない場合はその機能を失うことになります。男性の1本しかないX染色体が不完全であったり欠損がある場合はすぐに身体の異常として現れ、X染色体が全くなければ生命活動ができないということになります。
そのため、ターナー症候群はX染色体を2本持っている女性にのみ発症する疾患なのです。
病気ではなく体質という考え方
ターナー症候群の女性は低身長である場合が多いですが、両親の身長が高い場合はターナー症候群の女性の平均慎重より高くなる場合もあります。
また、ホルモン治療によって身長を伸ばすことができ、女性らしさも出できます。そのため、適切な治療を行うことで外見は一般女性と大きく変わらないのです。
どんな場合でも、病気と言うと生涯抱えていかなくてはならない重いものという認識をしてしまいます。しかし、ターナー症候群は様々な症状や合併症を来たしますが、治療できるものがほとんどです。
また誰でも罹患する可能性のあるものが多いことからも病気として捉えるよりも、体質という考え方を持つことができます。
まとめ
女性しか発症しない、ターナー症候群(後編)
ターナー症候群の治療
なぜ女性だけが発症するのか
病気ではなく体質という考え方