黄体機能不全 は、卵巣から卵胞が排卵された後、卵胞が変化して作られる黄体という組織の働きが悪くなる病気です。黄体から分泌される黄体ホルモンは、妊娠と妊娠の維持に欠かせないため、妊娠を希望する場合は 治療 が必要です。
また、黄体ホルモンには骨密度を上げる働きがあるため、妊娠の希望がない場合でも、骨粗しょう症の予防のため体質改善に取り組みましょう。
黄体機能不全の治療と体質改善
治療の必要性
妊娠の希望がある場合は、不妊症の原因でもあるため積極的な治療を行いますが、妊娠の希望がない場合の治療について、その重要性はあまり知られていないようです。
「黄体の機能が悪い」という状態は、自覚症状がなく日常生活において支障がなければ、医師によって治療の必要がないと判断されることもありますが、生涯の健康を考えれば改善したほうが良いと言えます。
積極的な治療法は不妊症治療とほぼ同じ内容になりますが、妊娠の希望がない場合は、医療的な治療を受けないまでも体質改善に取り組みましょう。
妊娠を目的とした積極的治療
黄体機能不全の状態では妊娠しにくく、妊娠までたどり着いても、黄体ホルモンが不足するため流産する可能性が高くなります。そこで、黄体機能を薬の服用と注射によりサポートし、排卵・妊娠へと導き、妊娠を維持させる治療が行われます。
卵胞の発育を促します
黄体の元となる卵胞の発育を促すため、クロフェミンを服用します。商品名ではクロミッドという錠剤を処方されることが多いようです。この薬は排卵障害に対して処方される排卵誘発剤ですが、卵胞を育てる働きもあるため、黄体機能不全の治療でも処方されます。
hCG注射により黄体ホルモン分泌を促します
hCGというホルモンを筋肉注射します。hCGは卵巣に、黄体機能不全において不足する黄体ホルモンを分泌するよう働きかけます。また、hCGには黄体ホルモンの分泌を促すだけでなく、排卵を誘発する作用もありますので、この2つの作用が妊娠をサポートしてくれます。
ただし、hCG注射には副作用もあります。副作用はhCGに限ったことではありませんが、10~20代の若い女性の場合、ホルモンの分泌量が多く薬の効果が強く現れてしまい、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症することがあるため注意が必要です。
腹水が溜まるといった重大な副作用を伴うことがありますので、これらの年代に当てはまる方が注射を希望する場合は、慎重に経過を見ましょう。
黄体ホルモンを内服薬・注射により補充します
妊娠を維持するため、不足する黄体ホルモンを補充します。hCGは卵巣に働きかけ、黄体ホルモンの分泌を促すものでしたが、この段階では黄体ホルモンそのものを投与します。内服薬はルトラールなどが処方され、注射にはプロゲデポーが使用されます。
妊娠の希望がない場合の治療
妊娠を希望しなくても、黄体期に出血があるなど病状が重度な場合には治療を行います。黄体機の出血は通常の生理とは異なり、生理が来る2週間前に起こる不正出血です。一般的に、生理不順や頻発月経の治療と同様、ピルを内服することにより症状を改善させます。
自覚症状がなくても体質改善が必要です
黄体機能不全は、妊娠に深く関わる病気であることから、妊娠を希望する人の治療ばかりが注目されがちです。しかし、黄体ホルモンが長期に不足することは骨粗しょう症のリスクを高めるため、妊娠を希望しない人にとっても改善が望まれます。
黄体機能不全に気付いたら、症状がなく積極的な治療を行わない場合でも、体質改善に取り組みましょう。
黄体機能不全の原因は冷えやストレスだと言われていますので、原因を取り除くことが何よりの根本的治療です。体を冷やさない工夫をし、ストレスを溜めないように心がけましょう。
また、ビタミンEが黄体ホルモンを増やすと言われているため、ビタミンEを多く含むアーモンドや納豆などの食品を食事に取り入れることで、食生活からの改善も期待できます。
その他の治療法として、体を温め、血流を良くする漢方薬もあります。婦人科で処方してもらえる漢方薬もありますので、かかりつけの医師に相談してみましょう。
まとめ
黄体機能不全の治療と体質改善
治療の必要性
妊娠を目的とした積極的治療
妊娠の希望がない場合の治療
自覚症状がなくても体質改善が必要です