女性にとって 乳癌 とは最も身近で怖い病気ではないでしょうか。近年日本の乳癌の発生率は急激に増え、1975年に1万3千人弱だった患者数は、2000年には8万2千人を超えています。女性の癌の発生率では2番目に多く、癌の死亡率も2位と高い数字です。
今後乳癌は更に増え、それに比例し乳癌で死亡する女性も増加すると予想されます。発症年齢は20歳過ぎからみられ、30代には更に増加し、40〜50代が乳癌発生率のピークになります。
女性にとって人生で最も忙しい時期に乳癌の発生率が高くなるので、身体の負担はもちろん、精神的な負担は想像以上になるでしょう。
最も身近で怖い病気、乳癌
乳癌って、どういう病気?
乳癌は乳房に悪性の腫瘍が出来る病気ですが、その腫瘍の発生場所には偏りがあります。乳首に腫瘍が出来る率が全体の約3%に対し、乳房の脇近くの上部は約50%で、乳房の外側下も含めると70%近くが乳房の外側に発生しています。
検査で乳癌と診断された場合のほとんどは手術で腫瘍を切除します。その他、放射線治療や投薬などもありますが、乳癌は予想の難しい病気で、手術や放射線治療をしたからといって100%完治するとは限りません。
乳癌のリスクが高い人って、どんな人?
乳癌には遺伝的要因もあり、親族に乳癌患者がいる場合は発生率が高くなります。母親や姉妹が乳癌の場合はそうでない人の3倍近くも高くなりますが、叔母の場合は母や姉妹に比べるとそこまで高くはありません。また遺伝的要素に加え加齢も発生率が高くなりますので、近い血縁者に乳癌の方がいる40代以降の女性は、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
初潮が早かった女性も乳癌の発生率は多くなる傾向にあります。12歳以下で初潮を迎えた女性と14歳以降の女性では2割ほどの差があります。また高齢の初産や、閉経が遅かった場合もリスクは高くなります。これは女性ホルモンのエストロゲンの分泌が大きく関わるとみられ、エストロゲンの分泌が多いほど乳癌の発生率は増えてきます。
同じような理由で、ピルなどのエストロゲン投与でも乳癌の発生率は増加します。ピルの服用を止めてから10年程で乳癌の発生率はやっと同年代と同じ数字になるとみられ、エストロゲンと乳癌の関係は非常に深くなっています。
また閉経後に肥満した女性は発生率が高く、閉経前から肥満していた女性の発生率に差はありません。閉経後に肥満した女性が食事の習慣を変え脂肪を控えても発生率に差は出ません。
乳癌って種類があるの?
乳癌には多く分けて3種類あり、それぞれ特徴が違います。
「非浸潤癌」
乳管や腺葉に出来、しこりを見つけにくい癌です。検査で見つけられる事が多く、早期発見で完治が可能です。全体の約20%を占めています。
「浸潤癌」
乳管から間質に癌が広がり、しこりで発見される乳癌の殆どはこの浸潤癌です。浸潤癌には一般型と特殊型があり、その癌の出来る場所により検査で見える癌の形と進行が変わってきます。
「パジェット病」
乳頭に出来る癌で、乳癌の約1%と珍しい病気です。乳頭のびらんが長引く場合は、一度医師に相談しましょう。
怖い乳癌、早期発見したい!
乳癌の発生する場所が大きく偏っていることから、「じゃあ、いつも胸の外側を鏡でチェックしていればいいの?」と思われるでしょう。本人が常にチェックすることは一番良ことですが、乳癌は初期の段階では痛みがなく、またしこりも非常に小さいので、目眼だけでの発見は非常に難しいでしょう。
乳房の奥に癌がある場合もありますので、自分のチェックに加え定期検診を受ける事をおすすめします。乳癌の進行には個人差があり、1年前に検査した時は問題がなかった人も、次の年には癌が進んでいたということもあります。リスクの高い女性は年に一度ではなく、数ヶ月に一度の検査を習慣にしましょう。
まとめ
最も身近で怖い病気、乳癌
乳癌って、どういう病気?
乳癌のリスクが高い人って、どんな人?
乳癌って種類があるの?
怖い乳癌、早期発見したい!