月経の血量は個人差が大きく、多い少ないという判断は難しいものです。しかし、ナプキンが1時間ももたないような状態やレバーのような塊が出てくる場合は、過多月経かもしれません。 過多月経 の原因は、病気が潜んでいる場合とホルモンのバランスによる場合とがあります。
病気が原因である場合、早急に治療することが必要です。また、ホルモンバランスが原因である場合も放っておくと、貧血を起こしたり、不妊の原因となったりするため婦人科を受診しましょう。
過多月経は危険信号!
どのくらいの量が多いと言えるのでしょう?
通常の月経は、2日目が一番血量が多く、その後徐々に減っていき4日~7日で終了します。ところが一番多い日の血量が何日も続いたり、月経が7日経っても終了しない場合は、過多月経の可能性があります。
昼間でも夜用のナプキンを使わなければもたないとか、漏れが一日中気になる日が何日も続くといった感覚がある場合は多いと言えるでしょう。過多月経は突然起こる症状ではなく、徐々に進行していくため、普段から月経のサイクルを把握しておくと、異常を早く見つけることができます。
過多月経に潜む病気
過多月経に潜んでいる病気の一番多いものは子宮筋腫です。子宮筋腫は筋腫のできている場所や大きさによっても月経血量に差が生じます。状態によってすぐに手術で取り除かなければならない場合や、ホルモン剤の治療によって筋腫を小さくしていく方法があります。
その他にも子宮内膜増殖症、子宮内ポリープなどがあります。気を付けなければならないのは、ごくまれに子宮体がんや子宮頸がんが原因であることがあります。
月経過多の原因となっている病気を特定するには、病院できちんと検査を受けるしかありません。病気は進行していくものなので、悩む前にまず受診することが大切です。
ホルモンバランスと過多月経
子宮内膜や排卵を促す女性ホルモンのバランスが、何らかの理由で崩れると過多月経になることがあります。この症状は閉経間近であったり、出産後の子宮に大きな変化がある時期、初潮を迎えて間もない時期など、ホルモンのバランスが安定していない時期に多くみられます。
治療は主に黄体ホルモン剤を投与して体内のホルモンバランスを整えます。しかしあまり効果がみられない場合や、月経時の大量の出血のために鉄分欠乏性貧血の症状がある場合は、ピルを使って子宮内膜の増殖を抑制させ、月経量を減らす治療を行います。
過多月経の新しい治療法
将来的に妊娠や出産を希望しない場合は、手術や薬物治療の他に避妊具を使ったり、子宮内膜の組織に手を加えて月経の出血を止めてしまうという方法もあります。
2014年に保険適応となった『ミレーナ』と呼ばれる避妊リングは、従来の避妊リングとは大きく異なり、付着された黄体ホルモンの作用がある薬が5年間に渡って徐々に放出されます。薬は子宮内膜を薄くするため、避妊以外でも過多月経や子宮内膜症といった病気の治療にも使用されています。
また2012年に保険適応となった『マイクロ波子宮内膜アブレーション』はマイクロ波を使って子宮内膜を焼き、組織を凝固・壊死(えし)させる方法です。どちらの方法も手術による身体的な負担や薬物治療による副作用に悩まされることなく、有効な効果が得られるため、大変注目されている新しい治療法です。
しかし、将来的に妊娠を希望するようになった場合は『エレーナ』は体内から取り外さなければいけません。一方『マイクロ波子宮内膜アブレーション』は子宮内膜を焼灼してしまうため妊娠はできなくなります。
どちらの方法も過多月経には大変有効な治療方法ですが、将来のことも考えて慎重に治療を選択することが大切です。
まとめ
過多月経は危険信号!
どのくらいの量が多いと言えるのでしょう?
過多月経に潜む病気
ホルモンバランスと過多月経
過多月経の新しい治療法