「漢方は月経前症候群を体の内面から改善させる(前編)」では、西洋医学と東洋医学の違いについてご紹介いたしました。後編では、 月経前症候群 による多彩な症状に効果のある 漢方 薬や漢方薬をおいしく服用する方法についてご紹介いたします。
漢方は月経前症候群を体の内面から改善させる(後編)
月経に伴う不快症状に効果のある7つの漢方薬
月経前症候群による多彩な症状に効果のある漢方薬のうち、代表的なものは7種類あります。これらの漢方はそれぞれ体に起こっている異常や体質を改善することにより、月経周期に伴ってあらわれる症状を軽減します。
五苓散(ゴレイサン)
体の中の水分を排出する効果があり、体内の水分バランスの乱れを正すことにより、むくみや吐き気、下痢、頭痛、腹痛などの症状を改善します。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
滞っている血液をきれいにし流れをよくすることにより、月経痛、月経不順、肩こり、めまい、のぼせ、冷えなどの症状を改善します。また美容にも効果があります。
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
血液のめぐりをよくすることにより、気が全身に行き届き、消化器系の異常を改善して虚弱体質や食欲不振に効果をあらわします。
また虚弱体質からくる頭痛、めまい、下腹部痛、月経異常、冷えなどに加え、うつや不眠、精神不安などの精神症状にも効果があります。
当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
血液をつくりやすい体質に改善することにより、貧血、月経異常、月経前症候群、むくみ、めまい、冷え性、肩こりなどに効果があります。痩せ型で虚弱体質の方に向いている漢方です。
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
血液の流れを改善し、全身のホルモンのバランスを整えることにより、月経不順や便秘などに効果があります。また、心と体の両方の不快症状を和らげ、月経痛など原因になる子宮の病気にも効果をあらわします。
温経湯(ウンケイトウ)
滞った血液と水分の循環を促し、バランスを整えることにより、体全体を温める効果があります。それにより、皮膚にまで十分な水分と栄養を届けて潤いを与え、かさつきを改善したり、冷えや頭痛、腰痛、腹痛など月経に伴う症状を緩和します。
また、体質改善により不妊治療にも効果があります。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
気と水のめぐりをよくすることにより、情緒不安定や抑うつなどの心の状態を改善し、リラックスさせてくれます。それにより、吐き気や胃炎、不眠、動悸、めまいに効果があり、心身ともに疲れやすい方に向いている漢方です。
漢方薬をおいしく飲む方法
漢方薬は西洋薬のように、症状のあるときに即効性をあらわすのではなく、飲み続けることにより内面から体質を改善し効果をあらわすため、長期間飲み続ける必要があります。
しかし、漢方特有の味やにおいがあり、さらにほとんどの漢方薬は顆粒で処方されるため口の中で広がってしまい飲みづらく、苦手意識のある方も多くいます。しかし、飲み方を工夫することにより、飲みづらさを軽減することができます。
たとえば、80℃くらいの少量のお湯で漢方薬をしっかり溶かした後、氷で冷やすことにより味やにおいを抑えることができます。
また、苦味が苦手な方は、あえて苦味のあるコーヒーや抹茶、ココアなどと混ぜたり、とろみがあって味の濃いはちみつに混ぜることにより飲みやすくなることがあります。
飲み物と混ぜる場合は、おおさじ1杯程度の少量に混ぜて飲み切れようにします。その他にも、粉薬などを内服しやすくするオブラートやゼリーなどを利用する方法もあります。
まとめ
漢方は月経前症候群を体の内面から改善させる(後編)
月経に伴う不快症状に効果のある7つの漢方薬
漢方薬をおいしく飲む方法